歯科衛生士 2018年2月
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 発熱や誤嚥性肺炎の予防には口腔ケアが有効であることが広く知られ(図1)、病院や施設においても積極的に口腔ケアが行われるようになっています。これは、口腔ケアの感染予防における重要性が認知されてきているためです。実際、歯面のブラッシングや粘膜の清掃を中心とした口腔ケアを行うと、プラークや食渣、ふやかした痰などが歯面や口腔粘膜口腔ケアが肺炎のリスクを高める?!口腔内ウエット 北原由加里Yukari KITAHARA東京大学医学部附属病院口腔顎顔面外科・矯正歯科歯科衛生士米永一理Kazumichi YONENAGA十和田市立中央病院総合内科医師・歯科医師星 和人Kazuto HOSHI東京大学医学部附属病院口腔顎顔面外科・矯正歯科医師Illustration:コージー・トマト、渡部伸子(rocketdesign)歯科衛生士がつねにかかわることができるわけではない、毎日の口腔ケア。要介護の患者さんの場合、忙しい看護師やケアワーカー、ご家族に依頼することになります。毎日続けていただくためには、効果があるだけでなく、時間や費用の負担がなるべく少ない方法であることが大切です。本稿では、提案しやすい口腔ケア法として、ウエットシートを使った口腔ケアをご紹介します。(編集部)TOPIC使える!図1 特別養護老人ホームにおける口腔ケアの有無による肺炎発症率・発熱発生率の違い から取れます。 しかし、もしそれらの汚染物を誤嚥してしまえば、逆に肺炎のリスクは高まります。通常であれば洗口で洗い流すことができますが、全身状態によりそれが難しい方は、口腔ケア後の口腔内汚染物除去がもっとも重要なポイントだと言えます。米山ら1)によると、全国11ヵ所の特別養護老人ホームで、専門的口腔ケアを行う群と行わない群に分け、2年間の追跡調査を行った結果、専門的口腔ケアを行った群は対照群に比べ肺炎にかかった人数、肺炎による死亡者数、発熱者数が有意に低かった。また、期間が長くなるにつれ、肺炎・発熱の発生率の差は大きくなった。効率的でローコスト(ヵ月)25201510500102030(%)対照群口腔ケア群*p<0.05*(ヵ月)252015105001020504030(%)対照群口腔ケア群**p<0.01発熱発生率肺炎発症率**歯科衛生士 February 2018 vol.4272

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