歯科衛生士 2018年3月
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私、プノンペンの歯科医院で働くことにしましたどこか懐かしい国に心を奪われた 皆さんのカンボジアに対するイメージはどんなものでしょうか? 長らく続いた内戦による影響のイメージが強く、とても貧しくて、発展途上国で、ボランティア活動などを想像される方が多い気がしますが、現実には目まぐるしい経済発展のさなかにあり、高層マンションの建設ラッシュ、土地価格の高騰が続いています。実際私が住んでいるカンボジアの首都・プノンペンでは、数年前にAEON(イオン)ができ、高層ビルや日系の飲食店もたくさんあります。 私が初めてカンボジアに出会ったのは、こちらに赴任するたった半年前のことでした。趣味の一人旅でカンボジアを訪れ、プノンペン空港を出た途端、たくさんのバイク・車の排気ガスと交通渋滞に包まれ、東南アジア独特の活気に飲み込まれたのを懐かしく思います。その旅を通して、たくさんのカンボジア人と片言の英語やボディランゲージでコミュニケーションを取りましたが、私の知っている東南アジアのなかでもいちばんと言ってよいぐらい、皆優しくて、人懐っこい笑顔で接してくれ、小さい頃、おばあちゃんの家に行った時のようなどこか懐かしい感じがして、この国が大好きになりました。周囲の心配を振り切り、決断! カンボジア旅行から帰ってすぐインターネットで調べたところ、今のクリニック(デンリッシュアジアデンタルクリニック)の求人に出会いました。当時の私は、一般歯科での歯科衛生士業務を行うごく普通の歯科衛生士。日々は充実していましたが、毎日が時間との戦いでした。20代から歯科衛生士として20年近くいろいろな経験を積んできて、なにか他にもっと自分にできることはないのかと漠然と思い始めていた頃でした。それまでも「海外で働いてみたいなぁ」と考えたことはあっても、現実的には踏み出す勇気は持てずにいましたが、半年後には、当院の正社員の歯科衛生士として採用され、プノンペンにマンションを借りて、働き始めていました。今となってはあの時の行動力だけは自分でも褒めてあげたい気持ちです(笑)。 渡航を決めた当時は、語学力も旅行英語程度で、両親には猛反対され、周りの人にも「本当にそんなところに行って大丈夫なのか」と心配されました。そんななか、「そんな貴重な経験ができるなんて羨ましい! 応援するよ!」と背中を押してくれた友達の言葉は、今思い出しても涙が出そうなぐらいうれしかったです。カンボジアの人たちの優しさに魅了されてしまいました。急激に発展しつつある都市恒例の、交通渋滞。※クメール語の「こんにちは」イオンの入ったビル。丸亀製麺は地元の人々にも人気。歯科衛生士 March 2018 vol.4272

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