歯科衛生士 2018年4月
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上顎中切歯・側切歯2は斜切痕の出現率が高い 上顎中切歯と側切歯は、全体的に円錐形をした単根歯です(図1a)。加えて、隣接面(セメント‐エナメル境、CEJ)の弯曲が強く見られることも特徴のひとつです(図1b)。 どの歯牙においても言えることですが、図1aに示すように、歯根は根尖に向かうほど根の幅が狭くなっていくため、歯周ポケットの深さや形態により、インスツルメント選択や当て方、ストロークの方向などに違いが出てくるこ また、上顎側切歯は、斜切痕(図2)の出現率が高いこと(中切歯10%、側切歯50%)1)も特徴のひとつといえます。切痕が歯根まで達していても必ずポケット形成が生じるわけではありませんが、その部位はプラークコントロールが難しいため、細菌感染が生じやすくなります。感染の結果として骨破壊が起きれば、切痕部に沿ってポケットが深くなります。したがって、歯周組織検査を行う際は、歯周ポケットの出血状態で感染の有無を精査し、感染から骨欠損が生じ、インスツルメンテーションが必要となった場合は、位置や切痕の幅・長さを慎重に確認のうえ、器具を選択していきます。12図2 斜切痕(リンガルグルーブ・舌面歯頚溝)舌面歯頚線中央もしくは境界部に見られる切痕。根尖まで及ぶほど発達したものもある。2の口蓋側(舌面歯頚溝)の半数によくみられる。図1a 上顎中切歯(1)と上顎側切歯(2)の比較図1d 水平断面図1b、c 2の近心面(M)bどちらも隣接面(CEJ)の弯曲が強いが、上顎中切歯のほうがより顕著。cCEJの弯曲部には歯石が付着しやすい。上顎側切歯(左)は卵円形に近い形。上顎中切歯(右)は角の取れた三角形。 水平断面は、唇側面(B)と比較して口蓋側面(P)の幅が狭く、上顎側切歯は卵円形に近い形をしています。上顎中切歯は角の取れた三角形です(図1d)。とがあります。特に、幅が狭く弯曲が強い口蓋側のポケットを垂直ストロークする場合は、ブレード(刃部)の長さによっては組織を損傷する場合があるため、注意が必要です。深くになるにつれて根は細くなっているPoint1プラークコントロールの難しい斜切痕の出現率がもっとも高い部位Point2中切歯側切歯bc全体に円錐形で、根尖に向かうほど根の幅は狭い。根尖1/3が遠心に向かって屈曲(歯根徴)。BP122153歯科衛生士 April 2018 vol.42

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