歯科衛生士 2018年5月
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あいさつで自分の立場をはっきりさせる 患者さんのお宅に着いたら、何はともあれあいさつです。所属名、名前、職種などの自己紹介をします。患者さんやご家族はもちろんのこと、他の専門職に出会うこともありますので、名刺を用意しておくといいですね。 以前通院していた方でもご自宅への訪問は初めてですので、あらためてのあいさつ、礼節を心がけます。初対面の患者さんであればなおさらです。必ず医療面接を行い、事前情報も再度確認する あいさつが済んだら、必ず医療面接を行います。うかがう内容は、基本的には診療室での医療面接と変わりません(表1)。ただし、訪問先は患者さんの生活の場であるため、診療室よりもさらにご本人やご家族に寄り添うことが大事です。口腔内のことはもちろん、不安なことや心配なこと、ニーズなどを聞きだしましょう。ケアマネからの情報提供書があれば、それを参考にします。ただし、訪問に行くまでに状況が変わっていることもありますので、情報提供書があったとしても、確認も含めて一つひとつ聞き取るようにしましょう。 効率よくモレのない医療面接のために 医療面接に時間を取られ、その後の診療時間も含め長時間となってしまうと、1日で何軒か回る場合には、次の訪問の約束の時間に間に合わなくなってしまい、患者さんとの信頼関係に影響することもあります。また、長時間の診療は患者さんの疲労にもつながります。医療面接からなるべく段取りよく、短い時間で行えるように心がけます。たとえば、服薬状況を確認する際は、お薬手帳を提示してもらいそれをメモに取って把握します。もし可能であれば、前もってコピーをお願いしておくと、お互い慌てずに対応できるうえに、時間の短縮にもつながります。 歯科医院で使用している記録紙を持参するか、あらかじめ聞き取りの項目をメモしておくと聞き忘れを防げます。まずはあいさつ、そして医療面接!いいえ。限られた時間ではありますが、必ず医療面接を行いましょう。A初対面でもそうでなくても、必ずあいさつ!診療室と同様にまずは医療面接医療面接はていねいに、かつ短時間で行う村田 碧 歯科衛生士着いたらさっそく診療を始めてもいいですか?Q7表1 医療面接で聞くべき内容一覧主訴・疼痛●どこが痛むのか●いつから痛むのか●口腔内で気になっていることはないか●口腔内で困っていることはないか現病歴・既往歴●現在の健康状態はどうか●身体状況はどうか(要介護度・ADL・身体の麻痺の状態など)●内科的な病気で通院しているかアレルギー●食物アレルギーはないか●薬のアレルギーはないか●ラテックスアレルギーはないか●キシロカインアレルギーはないか●金属アレルギーはないか服薬状況●現在の服薬状況はどうか口腔内の状態●前回と変わりないか●前回以降気になっていることはないか当日の体調●その日の健康状態はどうか●前回と身体状況に変わりはないか●内科的な病気での通院状況に変わりはないか服薬状況●服薬状況は変わっていないかⓐ初回訪問時ⓑ2回目以降(毎回)口腔内状況以外に目を向けて、これまでの病気の経過や介護状況、セルフケア・介護者による口腔ケアの状況、食事などに関する生活上の困りごとなどについて聞きだすことが、患者さんや家族に寄り添うことにつながる。歯科衛生士 May 2018 vol.4256

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