歯科衛生士 2018年5月
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会話の内容以外からも健康状態を探る 医療面接の際は、傾聴するとともに、患者さんやご家族の顔色や声色にも注意を払いましょう(図1)。 また、慣れない在宅療養生活に疲れていないか、会話の理解度や適応能力が維持されているかなども意識しながら、情報収集を行いましょう。予定していた診療が行えない場合もある 詳しくは次回で述べますが、体調の変化は診療した当日も含めて確認しましょう。患者さんに発熱が続いている、咳が出るなどといった体調不良がある場合、診療を延期する、あるいは無理のない範囲で体調を考慮しながら進める、診療内容を変更して行うなどのように、予定していた診療ができない日もあります。 在宅療養中の患者さんでは、日々体調が変化し、血圧や呼吸などのバイタルが不安定なことがあります。診療前は安定していても診療後に体調が悪化してしまう可能性もあります。医療面接時には、必ずその日の患者さんの健康状態を確認しましょう。患者さんのようすを観察し、“その日の健康状態”に気を配ろう村田 碧 歯科衛生士図1 その日の健康状態の主な判断材料体調次第では診療しない可能性も考えておく会話以外からも健康状態を探るいちばんは、患者さんに無理がかからないこと 医療面接が終わるといよいよ診療ですが、どこで行うのかが問題です。診療にふさわしい場所の条件の1つ目は、患者さんが無理なく姿勢を保てることです。無理な姿勢で診療を行えば、患者さんに無駄な力が入り苦痛を与えてしまい、誤嚥をまねいてしまう危険もあるからです。 部屋の状況から、患者さんが主に生活している場所がベッドか車いすかを確認します。会話ができる方であれば、どちらが楽な態勢で診療できるかをご本人に聞いてみてもよいでしょう。 ベッド上で診療を行う場合は、患者さんの身体が横や足の方にずれていないか、足底(足の裏)が安定しているかを、車いすでの場合は、身体が左右にずれて傾いて不安定ではないか、足が浮いていないか、足底がついているかなどを確認しましょう。診療時のポジショニングについては次回で詳説します。診療を行う場所を見つけよう村田 碧 歯科衛生士発熱があるか咳が出るか顔色はどうか声色はどうか●痰がからんだような声、いつもよりかすれている呼吸のしかたはどうか●息が荒く苦しそう、肩で呼吸をしている●赤みが強い→発熱、のぼせなどの可能性●顔色や皮膚が青白い・青ざめている→貧血などの可能性57歯科衛生士 May 2018 vol.42

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