歯科衛生士 2018年7月
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歯科訪問診療は計画性と継続性のあるもの 1月号P.64で述べたように、歯科訪問診療は、患者さんの口腔内の状況や嚥下状態等を計画的に継続的に管理していくもので、そこが、求められた時にだけ訪問する往診と大きく異なる点です。歯科訪問診療の必要な患者さんは、「寝たきりまたはこれに準ずる状態で通院困難な者」と定められており、重症度やADL、要介護度等による基準はありません。身体的に支援や介護が必要なくても、認知症などによって通院が 困難な方も該当します。そうした患者さんが食べる(生きる)ためには、計画的・継続的な介入が求められているのです。介護認定のある在宅患者さんへ歯科が行う指導や管理は「居宅療養管理指導」に分類される こうした、計画的・継続的な歯科訪問診療は「居宅療養管理指導」と呼ばれます。居宅療養管理指導は、歯科だけでなく、医師や薬剤師、管理栄養士も行っているものです。前述の「通院が困難な」患者さんに対し、「その居宅を訪問して、その心身の状況、置かれている環境等を把握し、それらを踏まえて療養上の管理および指導を行うことにより、その者の療養生活の質の向上を図るものでなければならない」と定め歯科衛生士が訪問するケースはどんなとき?患者さんに必要できちんと計画されたうえであれば、歯科衛生士だけが訪問するケースもあります。A川﨑恵美 ケアマネジャー/歯科衛生士歯科衛生士だけで訪問するケースもあるってホント?Q12表1 対象別にみる歯科訪問診療での保険請求要介護・要支援介護認定なし施設*2医療保険在宅*3介護保険(居宅療養管理指導)+医療保険医療保険*1 歯科医師の居宅療養管理指導費:患者さんが要介護か要支援かにより、「居宅療養管理指導費Ⅰ・Ⅱ」「介護予防居宅療養管理指導費Ⅰ・Ⅱ」に分かれる。算定は月2回まで。られており、指導や管理の内容は歯科の場合、口腔衛生指導や口腔ケアなどに該当します。 この「居宅療養管理指導」は、介護保険における算定項目の名称です。在宅で、介護認定を受けている患者さんに対して歯科が行う指導や管理は、「医療保険」ではなく「介護保険」制度が適用されるのです(表1)。「居宅療養管理指導」を請求するには 歯科医師が行う「居宅療養管理指導」*1の請求には、①患者さんに計画的・継続的な口腔管理が必要であると判断すること、②患者さんご本人・ご家族に対して指導や助言を行うこと、③介護支援専門員(ケアマネジャー、以下ケアマネ)に情報提供を行うことの3つの要件があります。 介護サービス計画(ケアプラン)の策定などに必要な情報提供を行わない場合は算定できません。また、情報提供の方法はサービス担当者会議への参加が基本です。ただし、参加が難しい場合や、会議自体が開催されない場合には文書にて情報提供します。情報提供の要点をカルテに記載する必要もあります。*2 施設:保険制度上の「施設」。*3以外の、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、病院など。*3 在宅:保険制度上の「居宅」。自宅、有料老人ホーム、軽費老人ホーム、グループホーム。歯科衛生士 July 2018 vol.4262

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