歯科衛生士 2018年7月
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患者さんが 乳がん TOPIC歯科医院にかかわるがん治療の変化がわかる  「がん通院治療時代」の歯科医院対応私たちの生活においてますます身近になってきている“がん”。皆さんが担当している患者さんががんになった時、患者さんにどのようなことが起きるのか、かかりつけ歯科として患者さんを一人の生活者としてどのように支えられるのか、今回は乳がんを例に示します。(編集部)Illustration:サタケシュンスケ図1 生涯におけるがんの罹患率・死亡率がんにかかる人が増えているがんになる確率は、女性より男性のほうが高い。 超高齢社会を迎えた現在、日本は多くの転換期の中にいます。その1つとして、われわれ日本人の2人に1人は、生涯何らかのがんに罹患することが報告されています(図1)。つまり、がんとともに生きる時代に変わったと言えます。Key1がん治療を歯科が支える制度が年々充実 こうした時代の要請に応えるために、歯科の役割もここ数年大きく変わってきています。その1つとして定められたのが、がん治療における支持療法である周術期等口腔機能管理*1です。2012年4月から開始され、多くのがんセンターや病院歯科口腔外科が取り組んできたことで、がんの化学療法、放射線療法における歯科的なサポートの重要性は周知されてきています。 さらに、がん患者のうち、独居高齢者で、生活習慣病などを抱える患者が増加していることが、国の求める医療福祉行政にも反映されてきています。その結果、2016年度からは緩和医療、さらに本年4月からは、人工股関節置換術等の整形外科手術、臓器移植手術、造血幹細胞移植、脳卒中に対する手術、脳卒中により生じた摂食機能障害による誤嚥性肺炎や術後の栄養障害に関連する感染症等の予防についても、周術期等口腔機能管理に新たに追加されるなど、その適用範囲は拡大しています(図2)。時代は、ますます歯科衛生士に対して期待が高まっているということでしょう。Key2*1 周術期等口腔機能管理は、がん治療やその他歯科的なサポートが必要な医科の治療を行っている患者に対して歯科医師が行う歯科治療と口腔機能管理、歯科衛生士が行う専門的口腔衛生処置を総称したもの。(文献1より引用改変)(%)100500男性女性62%46%26%16%罹患率死亡率歯科衛生士 July 2018 vol.4274

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