歯科衛生士 2018年7月
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になったら池上由美子Yumiko IKEGAMIがん感染症センター都立駒込病院看護部主任歯科衛生士 3つのKeyがん治療は入院ではなく外来が主体に こういったがんと闘う人々を支えていくためには、歯科診療所の歯科衛生士と病院の歯科衛生士の連携なくしては成り立ちません。病院に勤務する歯科衛生士は全就業者の約5.1%しかいないなかで、9割以上を占める、歯科診療所に勤務する歯科衛生士の役割は非常に重要です3)。 がん治療によって患者さんにどのような影響が出るのか、担当歯科衛生士としてどのようなサポートを行えるか、乳がんを例に具体的にお話ししたいと思います。図2 歯科がサポートするがん治療の種類がんと診断された時から治療全体をつうじて利用できる。なお、2018年4月から保険収載の名称が「周術期等口腔機能管理」に変更され対象患者の適用ががん以外にも拡大されている。周術期等口腔機能管理の適用範囲2放射線療法放射線を照射することで、細胞中の遺伝子に作用してがん細胞を死滅させます。4緩和ケアがんと診断されたときから行う、身体的・ 精神的な苦痛をやわらげるためのケアです。1化学療法抗がん剤治療。薬物によってがん細胞の増殖を阻害します。3移植・手術がん細胞が増殖した部位を切除したり、あるいは別の部位から健全な組織を移植したりします。 がんの主な治療法にも変化が見られます。がんの手術は、胸部や腹部を大きく切開する拡大手術が減少し、腹腔鏡や胸腔鏡を用いた、切開が少なく低侵襲で入院期間も短い手術が増加しています。また、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療も入院せず外来でほとんど行われるようになり、がん治療は入院から外来主体へシフトしてきました。つまり、がんを患っている多くの方々がそれぞれの地域で生活しているということです。実際、日本には約530万人のがんサバイバー*2の方がいると言われています2)。読者の皆さんの診療室に来院する患者さんにも、がんサバイバーの方が増えてきているかもしれません。*2 がんサバイバー:がんに罹患したことがある、またはがん治療中の患者を指す。Key32018年4月より、人工股関節置換術等の整形外科手術、臓器移植手術、造血幹細胞移植、脳卒中に対する手術、脳卒中により生じた摂食機能障害による誤嚥性肺炎や術後の栄養障害に関連する感染症等の予防についても適用されるように。P.762ページでおさえる! 乳がんの基本知識と、乳がん治療のいまP.78あなたの担当患者さんが乳がんになったら……。P.83[COLUMN] 口腔粘膜炎対策の強い味方! エピシル®口腔用液が保険適用に廣瀬知二 伊東歯科口腔病院[熊本県]・歯科医師Tomoji HIROSE75歯科衛生士 July 2018 vol.42

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