歯科衛生士 2018年8月
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さん」実現ガイド ラピーFurther Information About Aromatherapy*3 統合医療:近代西洋医学と相補(補完)・代替療法や伝統医学等とを組み合わせて行う療法4) 。フランスで偶然に発見された“薬” 「アロマテラピー」という言葉が登場したのは、古代から続く自然療法の歴史の中では比較的浅く、1930年ごろのフランスです。フランスの化学者ルネ・モーリス・ガットフォセが研究中に火傷を負い、偶然その場にあったラベンダーオイルに患部を浸したところ、みるみるうちに回復したというエピソードがきっかけで作られた造語でした。その後、第二次世界大戦時に、フランスの軍医であったジャン・バルネ博士が負傷兵の治療に精油を使用したこともあり、これらは以降、薬理作用を重視した精油を薬と同様に扱うフランスのアロマテラピーのルーツになったと言われています。イギリスでは健康療法として発展 一方、イギリスでは、1960年代に生化学者マルグリット・モーリーが人の心と体を一体と考えるホリスティック(全体的)なアプローチとともに、精油を希釈しトリートメントすることの有意性を理論と実践の両面から紹介しました。そのためイギリスでは直接的に精油を医療で使用するというよりも、健康維持を念頭としたホリスティックな療法としてアロマテラピーを発展させていきました。以降、アロマテラピーを学べるスクールや精油を扱うショップなどが増え、やがて大衆化していきました。わが国では80年代に登場 日本でアロマテラピーが広まるきっかけとなったのは、1980年代にロバート・ティスランドの著書『アロマテラピー<芳香療法>の理論と実際』(フレグランスジャーナル)が翻訳出版されたことでした。バブルの崩壊や阪神淡路大震災のあった1990年代には人々が癒しを求めメディアによる紹介が加速、活用法の標準化を目指して1996年には現在のAEAJ(日本アロマ環境協会)の前身となる協会が設立され、今に至ります。その後、アロマテラピーが浸透するにつれ、療法であるだけでなく、香りを楽しみ、心の平和を保つことにも役立てられることから、QOLの向上にも利用されるようになりました。日本のアロマはイギリス式 AEAJによると、精油の楽しみ方としては芳香浴(香りを一般的に楽しむこと)、沐浴(浴槽に入れ香りと経皮吸収を楽しむこと)、トリートメント(精油を希釈した植物油でマッサージすること)などが推奨されています。「原則的に精油は希釈して使用する」「経口を禁ずる」などのAEAJのガイドラインからも読みとれるように、日本ではイギリス式を踏襲しています。医療現場でも活用が進む 精油の研究も進み、効能に対しての裏付けとなるデータが蓄積され3)、現在アロマテラピーは補完療法のひとつとして、従来からの西洋医学と組み合わせ、「統合医療」*3(図1)として、心療内科や産婦人科、緩和ケアなど医療の現場にも導入され始めています。図1 医療におけるアロマテラピーの位置づけ(文献2をもとに作図)統合医療 Integrative Medicine補完代替医療ComplementaryandAlternative Medicine西洋医療Bio-Medicine83歯科衛生士 August 2018 vol.42

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