歯科衛生士 2018年9月
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口腔ケア中もつねに患者さんの状態を意識する 6月号で示したように、口腔ケア前のバイタル確認、そして患者さんの姿勢調整が大切です。患者さんのその日の体調等も考慮したうえで、負担のかからないよう口腔ケアを進めていきます。ここでは、実際口腔ケアを行うときに気をつけたいことを述べていきます。 大切なのは、口腔ケア中もつねに患者さんの状態を意識することです。口腔ケアを始める前には気にしていた患者さんの姿勢や全身状況等ですが、いざ口腔ケアをはじめると、口腔内に集中してしまい、患者さんの状態に意識がいかなくなってしまうおそれがあります。以下のポイントを押さえるとよいでしょう。ポイント① 何を行っているのかを説明する 口腔ケアを始める前に、その日どんなことをするのかを説明しますが、口腔ケア中も、一つひとつの動作の前にこれから行うことを伝えます。たとえば、歯ブラシを見せながら「こコツをおさえて、患者さんに負担のかからない口腔ケアを一気にケアをしすぎていませんか?患者さんに負担がかからないような配慮を身につけましょう。A十時久子 歯科衛生士口腔ケア中に、患者さんがたびたびムセるので心配です。Q16れから歯を磨いていきますね」、歯間ブラシを手に取って「次は歯と歯の間に歯間ブラシを通しますね」などといったぐあいです。ポイント② 都度、患者さんの状態を確認する それと同時に、患者さんの状態に変化がないかどうか、声をかけたり観察したりして、顔色や体の状態、姿勢などを確認することが大切です。「苦しくないですか」「疲れていませんか」などと、患者さんに声をかけながら行いましょう。ポイント③ 口腔ケア終了時に「お口を閉じて楽にしてください」と声をかける 口腔ケア開始時には、必ず「お口を開けてください」と声をかけると思います。でも、終了時には「お口を閉じてください」と言わない方が多いのではないでしょうか。 要介護の患者さん、特にご高齢の患者さんは、「お口を開けてください」と声かけすると、私たちが歯ブラシを口腔内から出したあとも、ずっとお口を開けたままの方が多いように思います。そうすると、長時間開口した状態が続くことになり、疲れてしまいます。疲れてくると、開口したまま顎が上がって上を向く姿勢になり、口腔内に溜まった唾液等を誤嚥する可能性も出てくるため、危険です。「お口を閉じて楽にしてください」など、ケア終了時の声かけも忘れないようにしましょう。口腔ケア中も、一つひとつ行うことを説明する都度、患者さんの状態を確認する口腔ケア終了時に、口を閉じるよう声かけを行うポイント①ポイント①ポイント②ポイント③歯科衛生士 September 2018 vol.4260

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