歯科衛生士 2018年10月号
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歯科衛生士がいない間の口腔ケアもマネジメントする 要介護高齢者に対する口腔ケアの長期目標の多くは、「誤嚥性肺炎の予防」や「う蝕予防」ではないでしょうか。そのためには、効果的な口腔ケアを継続して行う必要があります。 しかし、歯科衛生士が毎日足繁く訪問し、口腔ケアを実施するのは、現実的ではありません。毎日の口腔ケアは、患者さん本人や介護者、他職種にお願いしなければなりません。十分な情報収集をもとに計画する 日常的口腔ケアをマネジメントするために、私たち歯科衛生士はプランを立てます。そのためにはまず、いま現在の口腔ケアがどのように実施されているかについて、情報収集を行います。その際、表1に示すような「5W1H」で考えると日常的口腔ケアのプランを立てるために情報収集を行う歯科だけで背負わなくても大丈夫です。ケアプランを立てて日常的な口腔ケアをサポートしましょう。Aがんばっているけど、週1回の口腔ケアじゃ足りません!Q18情報を整理しやすいです。いつ、どこで、誰が、何を目的に、どのようなグッズを使って、どんな磨き方をして、口腔ケアを行っているのか。現状の問題点は何か。そして、可能であれば、実際に口腔ケアを行っているところを拝見し、難しく感じている点や困った点がないかを確認します。大切なのは、「相手の事情を知る」ことです。セルフケアが困難な患者さんとは? たとえば、筋ジストロフィーやパーキンソン病のように神経筋疾患がある場合は、歯ブラシを把持する手の力が低下するため、セルフケアは困難となってくることが考えられます。そして、認知症との兼ね合いも考えなければなりません。表1 現状の口腔ケア実施状況を収集するための5W1H確認するポイント得られる情報の例Whenいつ一日のうち、口腔ケアを行うのはいつか?朝食後、就寝前、デイサービス利用時、手が空いたとき などWhereどこで口腔ケアをどこで行っているか?ベッドの上、食卓、洗面所 などWhoだれが口腔ケアの実施者は誰か?本人、家族、ヘルパー、看護師 などWhatなにを現状の口腔ケアにおける問題や課題は何か?口が乾燥している、口が開かない、自分で歯磨きをするが短時間で終わってしまう などWhyなぜなぜ口腔ケアを行っているのか?誤嚥性肺炎になりたくないから、むし歯になると治療を受けるのが大変だから などHowどのように口腔ケアをどのように行っているか?歯磨きの後は拭き取りシートで口の中の唾液を拭き取っている、歯間ブラシを使っている などまず、現状の口腔ケアについて5W1Hで情報収集する歯科衛生士 October 2018 vol.4268

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