歯科衛生士 2018年12月
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ここからは、瘢痕を残さない一次治癒を実現するために、歯科衛生士として配慮していることをご紹介します。DH必見! 傷跡を残さないアシスタントワークのポイント 術部周囲軟組織に炎症がある状態で切開や剥離を行うと、過剰な出血を引き起こし繊細な手技の妨げとなります。また、炎症が残存している軟組織での歯肉弁の形成は二次治癒を招きます。これらを防止するために歯周基本治療を行い、深い歯周ポケットは残っても、BOPのない状態を目指します。 切開を行う際のアシスタントワークでは、軟組織の排除と、唾液や血液の広がりから術野を確保することに努めます。 ここでは、術前のカンファレンスで切開線の設定ラインを術者と共有しておくことが大事です。術者が切開を行う一歩先を読みながら的確な排除を行うことにより、術者の それに加えて、エナメル質のケアを行います。エナメル質表面に適したペーストでポリッシングを重ね、艶やかで滑らかな状態に整えます。これにより、術後のブラッシング禁止期間におけるプラークの付着を抑え、創傷の治癒を良好なものに導きます。これこそ歯科衛生士の腕の見せどころです。動きを妨げることなくスムーズな施術が行えます。 そして、手術中全体を通しての配慮にもなりますが、血液の排除(吸引)の際にサクションを過剰に使用しすぎないようにしています(P.73参照)。術中の口腔乾燥が引き起こす弊害のひとつ「歯肉弁の乾燥による歯周組織の劣化や細胞の壊死」は創傷治癒に大きくかかわってくるからです。 術中の口腔内の乾燥は器具の操作を困難にさせ、さらには術後トラブルの原因にもつながります(表2)。手術時間が長くなれば、術者は集中力が上がり視野は狭くなってきます。アシスタントは広い視野を持って、口唇や口角、舌、口蓋などにタイミングをみて、生理食塩水を浸したガーゼ(以下、生食ガーゼ、P.77参照)で湿潤させましょう。これは合併症を防ぐためのアシスタントワークです。なお、患者さんは急に術部以外を触られるとビックリしますので、一声かけるのを忘れないようにしましょう。口腔乾燥にも注意!表2 口腔乾燥が起因するトラブル乾燥する部位発生するトラブル口唇・口角口角炎舌根・軟口蓋咳、むせ咽頭咽頭炎歯肉弁細胞乾燥による歯周組織の劣化や壊死Check切開時のアシスタントワークスムーズな切開につながる排除をStep2手術前術部環境を最善の状態にしておくStep1歯科衛生士 December 2018 vol.4272

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