歯科衛生士 2019年1月
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「変化を診る」意識、持っていますか?患者さんの持つリスクは刻々と変化するメインテナンスは「変化を診る」こと高橋 啓 たかはし歯科・歯科医師そもそも、メインテナンスはなんのために行っているのでしょうか?まずはその目的を、今一度考えてみましょう。 皆さんは、メインテナンスに来院した患者さんに対して、どのようなことをされているでしょうか? PMTC、OHI……いろいろあると思うのですが、どうでしょうか? 日本ヘルスケア歯科学会では、「メインテナンスでは“変化を診る”ことがとても大事である」と伝えています。その大きな理由のひとつは、患者さんが来院する目的にあります。「今ある歯の健康を維持したい」「せっかく苦労して治療した歯を長く持たせたい」という患者さんの声です。メインテナンスに携わっている方であれば、患者さんのこの声と同じ気持ちなのではないでしょうか。 そうであれば、患者さんの口腔内の変化を診ることは、 患者さんの健康な口腔内を維持するためには、何が必要か?ということを考えていくと、「変化を診る」ことの重要性に気づいていくはずです。「患者さんの健康な口腔内を維持すること」というと、つねに一定の状態を維持するように聞こえますが、実際はそうではありません。患者さんの口腔内、つまり、う蝕のリスクや歯周病のリスクは、つねに変化しながら現状を保っているのです。リスクが変化すれば、対応も変えなくてはなりません。それゆえ、とても大事なことになっていきます。患者さんは、歯の健康、口腔の健康を維持するためにメインテナンスを受診されているわけであり、けっしてPMTCだけしてほしいと来院しているわけではないのです。 口腔の二大歯科疾患である、う蝕と歯周病は急に進行する疾患ではありません。それゆえ、患者さんの病態をどこまで把握しているか、今後の進行を予測しているかどうかが重要なポイントになってきます。これらの前提をふまえ、「どうやって変化を診るか?」という意識を強く持っていただきたいと思います。リスクを把握して、ベストな対応をすることが求められます。 そういった意識を持ち、予測を立てながらメインテナンスを行っているかが大きなポイントになってくるのです。「リスクは変化する」ということを前提にいろいろなことを組み立てなければなりません。これはメインテナンスに限らず、修復治療も含めてすべての歯科治療にいえることで、医院全員で共有しておきたい意識です。歯科衛生士 January 2019 vol.4322

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