歯科衛生士 2019年1月
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変化を診るメインテナンス“リスクを見逃さない”視点って?変化を診るための材料は 「問診」「診査」「記録」の つ高橋 啓 たかはし歯科・歯科医師“変化を診る”ためには、実際に何をすればいいのでしょうか? そのために必要な3つの項目別に考えていきましょう。 筆者の医院で何を問診しているか、項目を挙げると図1のマーカーで囲んだもののようになりますが、毎回すべてを聞くわけではありません。実際の臨床では、一人ひとりの患者さんとのかかわりのなかで、必要だと思うことをチェックします。そのためには、患者さんの情報を歯科医師と共有して、問題点の相談をしながら進めていくことが重要になってきます。 「問診」と言葉にすると、歯科衛生士がチェアサイドで患者さんから聞き取るというイメージですが、何もチェアサイドだけが情報収集の場ではありません。来院時の受付での何気ない会話から全身状態の情報が得られることもあるでしょうし、家族の情報を得るようなこともあると思います。 情報を引き出せるかどうかの鍵は「尋ね方」も重要となります。たとえば、「フロスを使っていますか?」という質問に対して、患者さんも「使っていません」と答えてはいけないことを知っています。それゆえ、「う~ん……、時々使っています」と答えたりすることでしょう。そんなことは最初からわかっています。だからどう聞くかを考えて質問することが大事なのです。ここで、「こう聞けばいい」という正解はありません。患者さんにより、状況もパーソナリティも違うため、その人にあわせた対応が必要になるからです。だから臨床は難しいのです。でも、「難しいから、面白い」と言えるかもしれません。とにかく現状を正確に知ることが、次への対策につながります。 問診力の向上は、コミュニケーション能力の向上にもつ では、具体的に「変化を診る」ことについて考えてみましょう。われわれが「変化を診る」ために大事にしていることは、「問診」「診査」「記録」です。どれも皆さんが普段ながると思います。ただ、皆さんの中にもコミュニケーションが得意な人、不得意な人がいるでしょう。不得意であれば、不得意なりにどうしていくかを考えましょう。たとえば、他のメンバーがフォローすることもありだと筆者は考えます。目的は「必要な情報を得られるようにする」ことで、皆がコミュニケーションの達人になろうという話ではありません。医院全員で取り組みましょう。行っていることではないでしょうか。これらをどのように活かし、メインテナンスの質に反映していくのか、詳しくみていきましょう。問診では、主に囲んだ事項について確認する。─何を問診するか?─問診1歯肉●プラークコントロール●ポケットの深さ●歯肉の色調●歯肉退縮 (オーバーブラッシング)●クレフト唾液●唾液量●唾液の性状歯牙●動揺度●咬合性外傷●二次う蝕●根面う蝕●咬耗・摩耗●生活歯のクラック●知覚過敏●修復物のマージン●歯列の変化●食片圧入●歯石沈着その他●顎関節●TCH●ナイトガード●舌の状態●口腔粘膜の変化●骨隆起●顎堤の変化●習癖、舌癖●口臭●鼻炎、口呼吸●義歯の状態局所環境図1 メインテナンスにおけるチェック項目●喫煙の習慣●オラブリスの使用の継続●フッ化物配合歯磨剤の使い方●食生活の変化●服用薬●家族歴生活習慣●既往歴の変化●更年期障害●体調●表情・雰囲気の変化全身状態323歯科衛生士 January 2019 vol.43

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