歯科衛生士 2019年2月
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いまや定期メンテがあたりまえの時代 平成28年歯科疾患実態調査結果の概要によれば、う蝕は5歳以上35歳未満では減少しても、65歳以上では増加傾向にありました。また、20歯以上の自分の歯を有する者は、いずれの年齢階級においても増加傾向にありながら、4mm以上の歯周ポケットを持つ者の割合は高齢になるにつれ増加しており、歯肉出血を有する者の割合は、30歳以上55歳未満で40%を超えています2)。若年者においてう蝕は減少しているものの、高齢者においては根面う蝕や歯周病が増えているといえます。 このような状況を背景として、歯科治療を受診される患者さんたちの期待が、「疼痛からの解放」から、「機能性・審美性の回復・改善」や「低侵襲・来院回数の減少」へと、変化しています。皆さんも、急性症状による歯科受診よりも、生涯にわたり定期的なメインテナンスで口腔内環境を整えようと考える患者さんが増えていることを実感されているのではないでしょうか。歯科用インプラントの長期的維持のためにも、継続的なSPT(Supportive Periodontal Therapy)は重要視されています3)。PMTCの新潮流「エアーアブレージョン」 患者さんによりきちんと通っていただくためには、できる限り痛みや不快感を与えず(低侵襲)、短時間で処置を終えられるようなメインテナンスプログラムが必要です。 メインテナンスの代表格といえば、PMTC(ProfessionalMechanical Tooth Cleaning)ですが、PMTCではもともと天然歯に付着しているプラーク除去を目的とし4)、回転器具とペーストを用いて歯面研磨を行う方法が主流でした。しかし、金属・ポーセレン・ジルコニアなどの材質への影響やエマージェンスプロファイルを考えると、回転器具による処置では損傷が生じたり到達できない部分ができてしまったりという懸念があります。 そこで登場したのが、水とパウダーを噴射して歯面清掃を行う「エアーアブレージョン」です。以前はヤニなどの色素除去を目的としていましたが、今では歯面や補綴物表面に形成されるバイオフィルムもターゲットになっています。研磨による振動を与えず短時間で確実に付着物を除去することで、患者さんも私たちも快適にメインテナンスに取り組むことが可能となります。1特 集次世代PMTCが気 エアフロー? パウダーメンテ? エアー  はじめに ―生涯メンテのPMTCに求められるもの―柏井伸子 歯科衛生士〈引用文献〉1. 日本歯周病学会.用語集.http://www.perio.jp/publication/upload_le/Glossary_List.pdf(2018年11月22日アクセス)2. 厚生労働省. 平成28年歯科疾患実態調査結果の概要. https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/62-28-02.pdf(2018年11月22日アクセス)3. Aguirre-Zorzano LA, et al. Prevalence of peri-implant inammatory disease in patients with a history of periodontal disease who receive supportive periodontal therapy. Clinical Oral Implants Res 2015;26(11):1338–1344. PMID 251324064. 全国歯科衛生士教育協議会(監修),合場千佳子ほか(編),高阪利美ほか(著).最新歯科衛生士教本 歯科予防処置論・歯科保健指導論.東京:医歯薬出版, 2011:178-182.歯科衛生士 February 2019 vol.4324

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