歯科衛生士 2019年2月
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「スポルディングの分類」は感染の危険度と消毒水準で分類されている 汚染器材ごとの消毒・滅菌の目安となっているのが1968年にE. H. Spauldingが提言した「スポルディングの分類」です。これは、器材を使用する部位に応じてノンクリティカル、セミクリティカル、クリティカルの3段階に分類し、それに対応して滅菌・高水準消毒・中水準消毒・低水準消毒の4段階の処理が設定されています(表1)。歯科における汚染器材は、滅菌・高水準消毒・ 中水準消毒で処理するとされているが…… 歯科医療で使用する器材のほとんどは、組織内に挿入するか粘膜と接触することから、滅菌、あるいは高水準消毒や中水準消毒にて処理しなければならないことになりま1迷信そのスポルディングの分類は院内感染対策には不可欠とされていますが……歯科医院のための感染対策に必要なのでしょうか?器材の消毒薬を「スポルディングの分類」で選定!す。低水準消毒にて処理するのは皮膚と接触している歯科用ユニットだけです。 しかし、実際には器材をオートクレーブ滅菌できるか否かで分類し、オートクレーブ滅菌に適する器材はオートクレーブ滅菌としていませんか。そしてオートクレーブ滅菌に適さない器材は高水準消毒として薬液消毒(グルタラール製剤かフタラール製剤)を行うというのが常習的となっていませんか。このとき、グルタラール製剤やフタラール製剤は毒性を有する化学物質ですが、作業者の健康被害に対する防護にはきちんと対応できているでしょうか。 この実態を鑑みて、はたして歯科医院における汚染器材ごとの消毒・滅菌の目安に、「スポルディングの分類」は適しているのか疑問がわいてきませんか。そもそも、滅菌・高水準消毒・中水準消毒・低水準消毒の4つの処理方法を設定することが必要なのでしょうか。表1 スポルディングの分類分類定義処理対象器材の例ノンクリティカル損傷のない皮膚と接触するもの洗浄血圧計、酸素マスク消毒する場合は低水準消毒セミクリティカル損傷のない粘膜および創のある皮膚に接触するもの高水準消毒(中水準消毒)人工呼吸器回路、麻酔器回路、軟性内視鏡中水準消毒ネブライザー、哺乳瓶クリティカル通常無菌の組織や血管に挿入されるもの滅菌手術器材?スポルディングの分類は本来、医科医療における分類であり、表に示すように医科感染対策における対象器材やその処理法が示されているところに、歯科器材を無理やり当てはめているに過ぎません。歯科衛生士 February 2019 vol.4346

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