歯科衛生士 2019年2月
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迷信真実とインフェクションコントロールの院内感染対策、自信はありますか?推奨セミクリティカル目視確認可例)デンタルミラー、印象トレー目視確認可例)外科器具、スケーラー目視確認不可、または構造が繊細例)バキュームチップ、ハンドピース目視確認不可、または構造が繊細例)バキュームチップ、ハンドピース推奨推奨不可欠WDによる器械洗浄・熱水消毒が不可欠不可欠WDによる器械洗浄・熱水消毒を推奨不可欠スチームステリライザーによる高圧蒸気滅菌で行う不可欠スチームステリライザーによる高圧蒸気滅菌で行う不可欠WDによる器械洗浄・熱水消毒を推奨不可欠WDによる器械洗浄・熱水消毒を推奨推奨クリティカル唾液に接触した場合血液に接触した場合分類不可欠※ハンドピースは不可。不可欠※ハンドピースは不可。滅菌スチームステリライザーによる高圧蒸気滅菌は?目視で血液付着を確認できるか構造が繊細な器材であるか予備洗浄浸漬洗浄/超音波洗浄は?洗浄・消毒WDによる器械洗浄・熱水消毒は?50年前からの医科の分類である「スポルディングの分類」が現代の歯科医院に適するとは言えないここがおかしい!日本の院内感染対策 「スポルディングの分類」が提言されたのは1968年と約50年前であり、その後は一度も改訂されてはいません。また、もともと医科における目安2)であり、歯科医療、とくに歯科医院のための目安には適していないと言っても過言ではありません。2003年のCDCの歯科ガイドラインでも、「器材の耐熱性・非耐熱性」「目視による血液の付着」を目安に、「滅菌」「高水準消毒」「中水準消毒」「低水準消毒」に区別して処理する、としか記載されていません3)。 「スポルディングの分類」は消毒薬を選定する目安ではなく、また歯科医院における滅菌・消毒とは乖離しておりもはや形骸化していると言わざるを得ません。さらに、いまだに防護しなければならないほどの有害な消毒薬を使用していることも危惧します。  その点、RKIにおける歯科医療機器のリスク分析では粘膜などの組織内への穿通や血液の付着によって「セミクリティカル」と「クリティカル」に分類するだけでなく、目視確認が可能な場合と中空器具などの目視確認が不可能な場合に分類して、そのリスクによって洗浄・消毒・滅菌のプロセスを決定しています(表2)。 また、RKIガイドラインでは、汚染器材の消毒は「ウオッシャーディスインフェクター(WD)による熱水消毒」、滅菌は「スチームステリライザーによる高圧蒸気滅菌」と提言しています。汚染器材の再生処置は、再生におけるリスク(血液付着の有無)と処理におけるリスク(目視確認および精細器材)の判定によって「WDによる器械洗浄」「WDによる熱水消毒」「スチームステリライザーによる高圧蒸気滅菌」のプロセスを決定するのです。「スポルディングの分類」のままでは歯科医院での消毒薬の選定ができません!真実 とは…表2 RKIによる歯科医療機器のリスク分析(文献4より引用改変)47歯科衛生士 February 2019 vol.43

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