歯科衛生士 2019年3月
2/8

電動歯ブラシのいままずは電動歯ブラシの基本情報とともに、気になるエビデンスについて現状を確認しましょう。PART1平山富興 須沢歯科・矯正歯科 歯科医師最近の電動歯ブラシは、“ブラシを歯面にあてるだけ”の音波歯ブラシ ご存じのように、歯肉縁上プラークコントロールは、歯ブラシによる機械的ブラッシングが主体です。また、患者さん自身による良好なプラークコントロールは、う蝕・歯周病予防に不可欠です。 ブラッシングには一般的に手用歯ブラシが用いられますが、最近では数多くの電動歯ブラシが市販され、口腔清掃法の手段のひとつとして認知されています。電動歯ブ 電動歯ブラシの種類は、「高速運動電動歯ブラシ」「音波電動歯ブラシ」「超音波電動歯ブラシ」に分類されます。下記にその特徴をまとめました。 超音波電動歯ブラシと高速運動電動歯ブラシは、手用歯ブラシと同様に自分で手を動かして磨く必要があります50年以上の歴史がある電動歯ブラシの種類ラシは1930年代後半に開発され、1960年代に商用化されるようになりました。その大部分は、1980年代まではボディーあるいはブラシヘッドが手用歯ブラシのように動くタイプでしたが、1990年代から、従来の電動歯ブラシとは動きが異なる音波や超音波電動歯ブラシが登場し、プラークコントロールの新しい選択肢として注目されるようになりました。が、現在歯科で主流となっている音波電動歯ブラシは、手を動かす必要がなく、ブラシを当てるだけで磨けます。音波電動歯ブラシを他の電動歯ブラシの磨き方で使うとプラークがじょうずに落とせないため注意が必要です。現在の歯科取扱品の主流高速運動電動歯ブラシ音波電動歯ブラシ超音波電動歯ブラシ洗浄のメカニズム●小型のモーターによる振動や回転によるプラークの機械的除去●リニアモーターによる高速振動や回転によるプラークの機械的除去●高速振動から生み出される水流によるプラークの除去●超音波によって歯と細菌の繋がりを弱め、不溶性グルカンを破壊振動数(毎分)3,000~7,000回20,000~40,000回1,200,000回以上動かし方小刻みに動かす(手用ブラシと同様)歯にあてるだけ小刻みに動かす(手用歯ブラシと同様)高速振動でプラークを除去する 高速運動電動歯ブラシと同様に回転や振動で機械的にプラークを取り除く、現在主流の高機能電動歯ブラシ。歯ブラシのヘッド部にリニアモーターが搭載されており、周波数20~200万Hz(音波領域)の高速振動でプラークを除去する。また、高速振動から生み出される水流で、歯ブラシの毛先が届かない範囲まで汚れを除去できるとされている。手用歯ブラシのように手を動かす必要はなく、ブラシを歯にあてて動かすだけでよい。ヘッドが機械的に往復・回転してプラークを除去する 音波電動歯ブラシと比較して振動数が少なく、手磨きをサポートする程度のため、手用歯ブラシと同様に手を動かす必要がある。超音波でプラークを除去する 超音波(100万6千Hz以上の音波)によって、歯と細菌の繋がりを弱め、プラークの一成分である不溶性グルカンを破壊することが音波電動歯ブラシとの違い。超音波発生装置がブラシヘッドに搭載されており、毎分120万回以上の振動でプラークを除去する。微細な運動でほとんど振幅がないため、手用歯ブラシの要領で手を動かす必要がある。また、ペースメーカーなどの誤作動を起こす可能性があるため、患者によってはこれらの機器の使用を確認する必要がある。歯科衛生士 March 2019 vol.4322

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る