歯科衛生士 2019年3月
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電動歯ブラシ 総チェックより最適な選択・指導が可能に!最新現在どこまでわかっている? 電動歯ブラシのエビデンス 電動歯ブラシを利用する利点を手用歯ブラシと比較して考えてみると、表1のように整理することができます。 こういった特徴から、電動歯ブラシは、ハンディキャップのある人や手用歯ブラシの適切な使用が難しい人、矯正装置をつけている患者さんに推奨されていましたが、近年では、患者さんの口腔内の健康に対する意識が高まるとともに、多種多様な機種が開発・販売されるようになり、一般の患者さんにも電動歯ブラシが浸透するようになってきています。 電動歯ブラシには現在、どこまでエビデンスがあるのでしょうか。治療と予防に関する医療情報を定期的に吟味し、人々に伝えるために、世界展開しているコクラン共同計画のシステマティック・レビューを参考に調べてみました。手用歯ブラシとの違い表1 手用歯ブラシに対する電動歯ブラシのメリット・デメリットメリットデメリット●使用が簡単●短時間でのブラッシングが 可能●電力が必要●経済的負担が大きい●重い電動歯ブラシは手用歯ブラシより優れているのか? Robinsonら1)は、「音波歯ブラシと手用歯ブラシの効果の比較」を報告しています。そして、回転振動型の音波歯ブラシは、1~3ヵ月では、手用歯ブラシよりもプラークの除去と歯肉炎を減少させたが、他の電動歯ブラシは、手用歯ブラシに対して優位性は認められなかったとしています。しかし、このレビューは異なる電動歯ブラシの比較が少なく、直接比較もされておらず、回転振動機能の電動歯ブラシが手用歯ブラシよりも優位であることは示しているものの、さらなる検証が必要とされています。さらに、健常者に正しい指導を行えば、回転振動式の音波歯ブラシと手用歯ブラシのどちらも良好な結果が得られたとし、音波歯ブラシを正しく使用できるように指導すれば、同様に良い結果が得られることを示唆しました。 その後、Yaacobら3)が2014年に行った同様のレビューでも、臨床的な有効性は不明としながらも、手用歯ブラシと比較して、電動歯ブラシの方がプラーク除去と歯肉炎の改善が、短期的にも長期的にも高かったとまとめています。電動歯ブラシの動き方の種類2)往復運動振動運動前後運動や左右運動のように、2~4mmの振幅で往復する刷毛面が円や楕円を描くように回転して動く刷毛部が微振動する毛先が上下に弧を描くように反復運動する上記の運動をいくつか組み合わせて動く周波を振動に変えて、刷毛部が微振動する音波振動楕円運動複合運動半回転運動アーチ型運動23歯科衛生士 March 2019 vol.43

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