歯科衛生士 2019年4月
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 は“評価”されている歯科医師に認められて初めて行える歯科衛生士業務がある さらに近年では、歯科衛生士の専門的な能力が評価され、歯周基本治療やメインテナンス/サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)など、歯周治療の一端を任される機会も多くなってきています。歯周治療において、歯科衛生士は歯科医師の診療を補助するとともに、歯科医師の指示を受けて歯科治療の一部(スケーリングなど)を担当します。歯科医師が、歯科衛生士に指示して行わせる行為は「相対的歯科医行為」であり、その業務は「歯科衛生士法」で定められた「診療補助」の範囲とされています。 ただ、この相対的歯科医行為をどの程度の範囲で認められているのかは流動的であり、指示された歯科衛生士の臨床経験により差があると考えられています。というのも、歯科衛生士の資格があれば、誰でも「相対的歯科医行為」を行える、というわけではありません。歯科衛生士がその診療行為を行うことが可能な「熟練度」があると、歯科医師が判断する場合だけ行えるのです。ですから、その診療行為を行うだけの「熟練度」がないにもかかわらず診療行為を行った場合には、違法行為になる可能性があります。熟練度を上げるためには、歯科衛生士免許を取得したということに甘んじないで、働きながら、学生時代に習った知識や技術をブラッシュアップさせる必要があります。それがひいてはキャリアアップにつながるのです。歯周治療の対価は「診療報酬」として支払われる 歯科衛生士法制定時の歯科衛生士業務は歯科予防処置のみでしたが、昭和30(1955)年に法が改正され、保健師助産師看護師法の規定を一部解除し、歯科衛生士法第2条第2項に「歯科診療の補助」が加わり、歯科医療機関に就業する歯科衛生士の業務が明確となりました。「相対的歯科医行為」として歯科衛生士が行う歯周治療は、診療報酬上で位置づけられ、評価されています。これは、健康保険法を根拠とし、厚生労働大臣が定めた歯科診療に係る費用の額(告示)、つまり保険診療項目の価格表(歯科点数表)です。診療年数や経験の有無を問わず、全国一律で同じ算定ルール、同じ点数となっています。約1,900の項目(加算項目数や材料を含む)があり、おおむね2年に1度、項目の見直し(診療報酬改定)が行われています。 歯科点数表には歯周治療に関係する項目も数多く入っています。診療に際しては、日本歯科医学会が策定した「歯周病の診断と治療に関する基本的な考え方」を参考に行います。つまり、歯科衛生士が行う歯周治療には統一されたルールがあることを理解し、それをふまえて実施することが必須なのです。 熟練度の高い歯科衛生士は、診療報酬の項目にある歯周治療のほとんどを任せられ、算定(評価)されています。あなたは、任せられていますか?◎△さん、4月から歯科衛生士として仕事を始めてみてどう?えー!? そうなんですか? ぜんぜんわからないです。じゃあ、一緒にそのポイントを見ていきましょう。学校で習ったことと、実際の臨床でいろいろ違いがあって、なかなか慣れません……。保険診療をやっているのなら、診療報酬のことも考えないとね。えー、どういうことですか?ぜひお願いします!歯周治療を行っているつもりでも、診療報酬のルールに沿ってなかったり、そもそも歯周治療の流れに沿っていなかったりすると、評価してもらえないこともあるのよ。81歯科衛生士 April 2019 vol.43

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