歯科衛生士 2019年5月
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患者さんの納得を引き メンテのスイッチは最初に押す!メインテナンスで定期的に口腔内を管理していくことが不可欠であることは周知の事実ですが、治療終了後、メインテナンスにスムーズに移行できずに悩んでいる歯科衛生士が多いのも現状です。そこで今回は、臨床歴30年以上のベテラン歯科衛生士である奥山さんに、一つひとつの診療行為が患者さんの実感に結びつき、納得につながる初診時のルールを大公開していただきます! (編集部)奥山洋実Hiromi OKUYAMAデンタルクリニック調布[東京都]歯科衛生士スタディーグループ奥山会代表患者さんの意識改革は、初診時から行うべし主訴の解決だけで終わらせない 毎日さまざまな主訴を持つ患者さんが当院を訪れます。歯が痛くて切羽詰まってから来院する方もいれば、クリーニングを受けたいという目的で来院する患者さんもいます。痛みがある方や不具合がある方は、もちろんその日のうちに対応することが必須です。しかし、初診時に主訴の対応だけに終わらせず、今後患者さんが自分の口腔の健康を維持するためにはどうすればよいかを伝え、不具合が出た時だけではなく、歯を守るために歯科医院を利用するという意識改革をしていただくことが重要です。初診時に患者さんに十分な情報提供を行わず主訴の解決のみで終わらせてしまうと、来院が途絶え、さらなる情報提供や口腔の改善の機会を失うことになります。無関心を患者さんのせいにしない これまでたくさんの患者さんにかかわってきましたが、「自分の歯はどうなってもいい」と思っている患者さんはいないと感じています。一見関心がなさそうな患者さんはたしかにいますが、だからといって「デンタルIQが低い」と安易に患者さんのせいにしてしまっていいのでしょうか。そういった患者さんを生んでしまった責任の一端は、これまでの歯科医療であるとも言えると思っています。歯を失う原因は老化ではないこと、う蝕や歯周病は本来予防可能な疾患であること、そして口腔の健康が全身の健康にも影響があるということを伝え、口腔の健康を守る重要性を知ってもらうことが大切です。私たち歯科衛生士の使命は、患者さんの口腔を守る専門家として患者さんに情報を提供し、健康意識を高めることであると考えています。意識が変われば、患者さんは忙しくても通院してくれる 現在筆者が勤務している医院は、もともと2017年3月に一般開業医としてスタートしたものの、当時の院長の都合により2018年6月末で閉院し、翌7月から新しい院長のもと完全自由診療の歯科医院として再出発しました。図1のグラフは、2017年3月以降の筆者の担当患者のデータです。途中から完全自由診療となったために来院が途絶えてしまった患者さんもいますが、多くの患者さんが自由診療に移行した後も変わらずにメインテナンスに通ってくださっていることを、歯科衛生士として嬉しく思っています。 また、メインテナンスに通っている方の年齢層も調べてみました(図Illustration:石山綾子2特 集歯科衛生士 May 2019 vol.4336

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