歯科衛生士 2019年5月
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時代が変われば常識も変わる21世紀の続フレイル2フレイル対策は、健口で食べる・運動する フレイル(虚弱)は読者の皆さんも知っておかなければならないキーワードです。フレイルとは、高齢者が次第に弱り、要介護に至る手前の状態のことを言います1)。超高齢社会の日本では、フレイル対策は大きな課題です。しかし、フレイルは不治の病ではありません。フレイルに向かっていても、適切な対応によってフレイルから脱出することができます。 フレイルの構成要素は身体的要素、精神的要素、社会的要素の3つです1)。健口はどの要素にも良い影響を与えます。特に、動作が遅くなったり、転倒したりしやすくなる身体的要素には、「何を食べるか」が大きく関係しています。年を取ると、運動量が減って食欲が落ち、そして筋肉が落ちていきます。その結果、足腰が弱り歩きづらくなり、寝たきりに陥っていきます。これには、筋肉減少症(サルコペニア)が大きく関係しています。サルコペニアからの生還、あるいはサルコペニア予防に必要な栄養素はタンパク質です。タンパク質を摂取して適度な運動をする、こうして筋肉を付けることが効果的なフレイル対策です2)。フレイル(虚弱)への下り坂フレイルの3要素フレイルには、動作が遅くなったり、転倒したりしやすくなる身体的要素だけでなく、精神的要素、社会的要素もある。健口で食べることは、身体的要素だけではなく、他の要素にも影響を与える。美味しさを楽しむことで心を豊かにし、仲間との外食は生きる場を広げる。フレイルの段階であれば、要介護に向かって坂を下っている人でも、健口を取り戻すことによって再び坂を登り始めることができる(可逆性)。(文献1より引用改変)(文献1より引用改変)健康プレフレイルフレイル要介護精神的要素うつ認知症身体的要素サルコペニアロコモティブシンドローム社会的要素孤独閉じこもり経済的困窮61歯科衛生士 May 2019 vol.43

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