歯科衛生士 2019年7月
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糖尿病の基礎知識金澤雅之医療法人宏人会中央クリニック[宮城県] 院長・医師食 事薬 物運 動喉が渇く疲れやすい 発症当初は無症状であることが多いですが、高血糖状態がある程度持続すると、典型的な症状として口渇、多飲、多尿、体重減少、易疲労感などが現れます。また、放置すると、網膜、腎臓、全身の神経や動脈に病変が生じ、視力低下、浮腫、足のしびれや壊疽、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、感染症など、さまざまな症状や合併症が発生します。診断は血糖値、HbA1c値、自覚症状や網膜症の有無などで行います。症状 ホルモンの一種であるインスリンは血糖値の調節に重要な役割を果たすものです。インスリンは膵臓のランゲルハンス島β細胞から合成・分泌されますが、必要量が分泌されれば血糖値は正常に保たれます。一方、分泌の不足や、作用の減弱(インスリン抵抗性の上昇)は高血糖を引き起こし、高血糖状態が慢性化すると糖尿病となります。 糖尿病には、極度にインスリンが欠乏している1型と、インスリン分泌量の不足、インスリン抵抗性、生活習慣、環境、ストレスや加齢などの影響で発症する2型、その他に妊娠や特定の疾患に起因するものがあります。原因 国内の糖尿病患者は少なくなく、平成29年度の厚生労働省国民健康・栄養調査によると、糖尿病が強く疑われる人の割合は男性が18.1%、女性が10.5%でした。また、男女ともに年齢が高くなるほど割合が高くなります。国内患者数 治療は血糖値を良好にコントロールし、症状や合併症の発生や進行を防ぐことが目的です。主な方法として食事療法、運動療法、内服薬や注射薬を用いた薬物療法があります。治療法連載第1回目は、以前より歯周治療と深い関係性があるといわれている糖尿病について取り上げます。第1回口腔糖尿病65歯科衛生士 July 2019 vol.43

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