歯科衛生士 2019年8月
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現状では、妊娠中の歯周治療が早産・低体重児出産のリスクを減らせることは証明できていない口腔×早産・低体重児出産オーバービュー19401990 学術誌で妊娠性歯肉炎の存在について報告されるようになりました。LoeとSilness(1963)は、妊娠と歯肉変化との関係を歯周病学的パラメータを用いて、妊娠2ヵ月から8ヵ月で最大になることを示しました1)。妊婦において歯肉炎の症状が顕著になる事実が学術的に確立された1940年代~ アメリカのOenbacherら(1996)は、観察研究により、歯周炎に罹患した妊婦では、そうでない場合よりも低体重児出産のリスクが7.5倍(オッズ比)高いことを報告しました2)。歯周炎患者である妊婦は早産・低体重児出産のリスクが高いことが報告された1996年2002~ チリのLópezら(2002)は、歯周疾患をもつ妊婦400名のうち200名には妊娠28週以内に歯周治療を行い、出産前に治療が行われなかった対照群と比較して、早産・低体重児出産の確率が低くなった結果を報告しました3)。さらに、アメリカにおける研究ではJecoatら(2003)も同様の結果を報告しました4)。妊婦の歯周炎を治療することにより早産・低体重児出産のリスクを減少させることを示唆する介入研究の結果が報告されたPick upで紹介!12003年歯科衛生士 August 2019 vol.4356

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