歯科衛生士 2019年8月
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これまで、どのような研究結果をもとに早産・低体重児出産と歯周治療の関係の考え方が変化してきているか、年表でチェックしてみましょう。20002010 アメリカで行われたMichalowiczら(2006)による大規模な介入研究において、妊婦における歯周治療は安全に行えるが、早産・低体重児出産のリスクを減らすことはできなかった結果が報告されました5)。また、Oenbacherら(2009)6)、Oliveiraら(2011)7)も同様の結果を示しました。妊婦に歯周治療を行っても早産・低体重児出産のリスクを減少させることができないことを示す介入研究結果が報告された2006年~ ヨーロッパ歯周病学会(EFP)とアメリカ歯周病学会(AAP)による合同ワークショップにおけるコンセンサスレポート(Sanzら,2013)により、歯周治療により早産・低体重児出産の全体的な確率を減らすことができないと結論づけられました8)。コクランのシステマティックレビュー(以下、SR)では(Iheozor-Ejoforら,2017)、妊娠中の歯周治療が早産の発生率に影響するかは明らかでなく、低体重児出産を減らせるというエビデンスの質は低いと結論づけられました9)。さらにRangel-Rincónら(2018)のアンブレラレビュー*でも、歯周治療の影響は明らかでないとされました10)。エビデンスが蓄積し、コンセンサス会議やシステマティックレビューにより歯周病と早産・低体重児出産との関係が疑問視されたPick upで紹介!220202013 ~現在年*アンブレラレビュー:複数のメタ分析やSRをさらに分析したもの。研究量が増え、精査を高めるために登場した。57歯科衛生士 August 2019 vol.43

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