歯科衛生士 2019年10月
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リスクをつかむカリエスマネジメント得た情報を役立てるために!カリエスリスクの因子は細菌だけではありません。ここでは、患者さんが持つリスク因子の把握のために必要な4つの確認事項を紹介します。ハイリスク項目があった場合は患者さんに伝え、共有します。 4項目 う蝕の予防、初期う蝕の進行停止には、フッ化物配合歯磨剤がもっとも大事な役割を果たします。長期的にフッ化物配合歯磨剤を使うことにより、う蝕は半減すると言われていますので、フッ化物配合歯磨剤によるブラッシング習慣を確認する必要があります。特に、就寝前のフッ化物配合歯磨剤によるブラッシングはとても大事ですので必ずチェックしてください。疲れて、食事後にそのまま寝てしまう方がいたり、就寝前のブラッシング後に糖分が含まれたものを飲食する習慣がある方はう蝕になりやすい傾向にあります。1日のブラッシング回数に加えて、就寝前のブラッシング習慣の有無を必ず聞きましょう。特に、成人・高齢者の場合、晩酌習慣の有無とその後のブラッシングの有無について聞くことを忘れないようにしてください。 口腔内環境を確認することで、その変化がわかり、リスクの予測を立てられます。口腔内を検査する場合は、必ずプラークを除去してから歯面を検査します。前回の資料(口腔内写真、エックス線写真、サブカルテなど)をもとにプラークの付着、唾液量(口腔乾燥)などの変化の有無を調べましょう。 新たな初期う蝕や以前の初期う蝕が拡大・進行していれば、その理由を把握しなければなりません。病変の上にプラークがあった場合は、活動性のう蝕とし、活動性を低下させる治療が口腔衛生習慣CHECK2口腔内の環境CHECK3う蝕病変の有無CHECK4チェック項目の例ハイリスクの評価基準口腔衛生状態はどうか多くの歯面にプラークがあるCAT21 テスト(モリタ)の結果スコア2.0以上根面露出と根面上プラーク根面露出ありでプラークもあり口腔乾燥の有無 所見ありチェック項目の例ハイリスクの評価基準1年以内の新規う蝕治療の有無ある(初期う蝕、二次う蝕も含む)チェック項目の例ハイリスクの評価基準就寝前にフッ化物を用いたブラッシング習慣はあるかしない、ほとんどしない就寝前のブラッシング後に飲食をするか 糖分を含む飲食をする(水、お茶、牛乳は問題ない)フッ化物配合歯磨剤の使用は一日何回か 使用していないフッ化物配合歯磨剤の使用量はどのくらいか年齢に応じた適量と比べ不足しているブラッシング時のうがいの回数3回以上行うコード0:健全コード1:エナメル質における目視可能な初期変化(持続的なエアー乾燥後に限って観察されるか、あるいは小窩裂溝内に限局)コード2:エナメル質の著明な変化コード3:限局性のエナメル質の崩壊(象牙質への進行を示す臨床的な肉眼的徴候はない)コード4:象牙質への陰影があるコード5:著明なう窩。象牙質は目視可能コード6:拡大した著明なう窩。象牙質は目視可能ICDAS基本コード さらに、うがいの回数が多い・歯磨剤の使用量が少ないとフッ化物の効果が低下します。歯磨剤に関しては、フッ化物未配合のものを使っている方や、少量での使用が適切だと思っている方もいますので確認しましょう。必要となります。う蝕病変は、ICDASを活用して初期う蝕病変の有無と変化を調べるとよいでしょう。51歯科衛生士 October 2019 vol.43

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