歯科衛生士 2019年10月
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不正咬合のカギは中顔面の成長に  不正咬合の要因のひとつ、中顔面の劣成長(図1)は、特に上顎が後退しているアングルⅢ級の不正咬合(図2)の要因として挙げられます。臨床では、他のクラスの不正咬合においても、顔貌骨格を視診すると中顔面の劣成長が感じられるケースにしばしば遭遇しますが、実際にアングルⅠ級の叢生やⅡ級の下顎後退に関しても中顔面の劣成長は指摘されてきました2,3)。また、Ⅱ級の小児において、上気道の通気障害が長顔傾向の原因になり得ることも示唆されています4,5)。 このことから、不正咬合の予防は舌を口蓋に接地させた中顔面の前方成長にあると考えます。図1 中顔面の劣成長図2 不正咬合の分類(アングルの分類)(文献1を一部改変して転載)(文献6を一部改変して転載)目の上から上顎までを中顔面といい、正常には上顎が前方へ成長する。口呼吸などで上顎が前方成長せず(劣成長)、下顎が下方に成長すると長顔(面長)傾向となる。上下顎歯列弓の前後関係を表すのに用いられているAngle E.H.による分類。上下の第一大臼歯が近遠心的に正常に咬合正常な成長劣成長下方成長前方成長中顔面の成長が不正咬合予防のカギアングルⅠ級アングルⅡ級上顎第一大臼歯に対し、下顎第一大臼歯が近心に咬合するものアングルⅢ級上顎第一大臼歯に対し、下顎第一大臼歯が遠心に咬合し、上顎前歯の前突をともなう(口呼吸と関係あるもの)上顎第一大臼歯に対し、下顎第一大臼歯が遠心に咬合し、上顎前歯の後退をともなう(正常な鼻呼吸ができるもの)第1類第2類歯科衛生士 October 2019 vol.4378

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