歯科衛生士 2019年11月号
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佐々生康宏Yasuhiro SASAOささお歯科クリニック口腔機能センター[山口県]院長・歯科医師木村聖子Seiko KIMURAささお歯科クリニック口腔機能センター[山口県]歯科衛生士片山智子Tomoko KATAYAMAささお歯科クリニック口腔機能センター[山口県]歯科衛生士川脇梨菜Rina KAWAWAKIささお歯科クリニック口腔機能センター[山口県]歯科衛生士丸山 咲Saki MARUYAMAささお歯科クリニック口腔機能センター[山口県]歯科衛生士Illustration:ハラアツシ 歯科訪問診療へ出かける歯科衛生士さんも増えてきましたが、その多くは口腔清掃のみにとどまり、実際に食べる現場の指導まではなかなかアプローチできていないという話をよく聞きます。しかし、実際の訪問では、患者さん本人やご家族、他職種から義歯の相談や食形態の相談を受けることもあるのではないでしょうか。 そんなときは、口腔状態から想像してアドバイスされているかもしれませんが、患者さんによっては口腔清掃時の状況だけではまったく想像できないような食べ方をしている場合もあります。実際の食事場面を知らなければ、チンプンカンプンな指導をしてしまうこともあるかもしれません。 実際、筆者らも口腔清掃や機能訓練しか実施していなかった患者さんがいましたが、あえて食事場面を見にいったら、驚きの発見がありました。歯があるにもかかわらず咀嚼せずに嚥下していたり、口腔内に食べ物を溜めたまま眠ってしまったり、食事を拒否し、途中で食べるのをやめてしまったり、食べ物の好き嫌いが極端だったり……。食事場面を見て初めて把握できることがとても多くあったのです。 歯科は「食べる機能を支える職種」です。歯科訪問診療における口腔ケアの目的は、口腔衛生状態の維持・改善、口腔疾患の発見、口腔機能の維持・向上などさまざまですが、いちばんの目的は「食べること」と位置づけしてもよいかもしれません。そこには歯科衛生士ならではの視点から気づきを与えることができる可能性があります。 「食べること」を支える職種として何をしていくべきなのか、本稿を通じて実際の食事場面の観察方法、対応方法について参考になれば幸いです。食事場面を見ないまま指導していませんか?49歯科衛生士 November 2019 vol.43

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