歯科衛生士 2020年2月号
1/8

Illustration:うつみちはる糖尿病患者の歯周病管理では、全身状態を把握する方法として「お薬手帳」や「糖尿病連携手帳」の確認は重要な情報源の一つです。各チェックポイントと活用の実際をご紹介します。中澤正絵 Masae NAKAZAWA医療法人盟陽会 富谷中央病院 歯科衛生士長歯科衛生士・宮城県糖尿病療養指導士角川智子 Tomoko KAKUGAWA医療法人盟陽会 富谷中央病院 副院長糖尿病内科医白井勇太 Yuta SHIRAI医療法人盟陽会 富谷中央病院糖尿病専門医[監修]糖尿病診療記録のみかた・読みかたお薬手帳&糖尿病連携手帳を歯周病管理に役立てる糖尿病連携手帳には歯科の検査結果記入欄も備わっていることと同時に、前回お伝えしたような糖尿病と歯周病の関係についても解説しながら、手帳の重要性について患者さんに理解してもらいましょう。確認編手帳のどこ&何をみる?第2回糖尿病連携手帳には歯科の検査結果記入欄も備わっていることと同時に、前回お伝えしたような糖尿病と歯周病の関係についても解説しながら、手帳の重要性について患者さんに理解してもらいましょう。確認編手帳のどこ&何をみる?第2回 歯科治療の際、糖尿病の患者さんの病状を把握するために、初診時のみならず、毎回のお薬手帳と糖尿病連携手帳の確認は欠かせません。日本糖尿病学会では「糖尿病は治る病気ではないので生涯にわたり通院するように指導する 糖尿病の患者さんにおいては、私たちが思っている以上に頻繁に服薬が変更されることがあります。また、お薬手帳を確認することで現在受診している病院や診療所の情報、問診票に記載されていない疾患の薬が処方されていることに気づくこともあります。患者さん自身も自分の病名を知らずに服用している薬もあるかもしれません。また、きちんと定期受診をしているかも確認しましょう。 毎回、お薬手帳を確認し、全身状態を把握したうえで歯科治療を行うことは医療事故防止のためにも重要なチェックポイントになります。糖尿病の患者さんが服用される代表的な薬と特徴を把握しておきましょう(表1)。そのほかに気を付けておきたいのが抗血小板薬や抗凝固薬、ビスフォスフォネート製剤(BP製剤)などを服用している場合です。観血処置は担当医と相談が必要です。こと」とあります1)。つまり、糖尿病治療は一生続いていくもので、患者さんの環境や生活習慣の変化、薬、食事、運動の内容や量によってもHbA1cは変化するのです。手帳は毎回のチェックが肝心!表1 代表的な糖尿病薬歯科治療は、服薬情報を把握してからお薬手帳治療薬代表的な商品名作用と特徴ビグアナイド薬メトグルコ錠主に肝臓に作用して血糖を下げる。造影剤の検査や大きな手術の際には休薬の必要があるDPP-4阻害薬ジャヌビア錠、エクア錠膵臓のインスリン分泌を助ける。特に大きな副作用はないSGLT2阻害薬ジャディアンス錠、フォシーガ錠尿に糖分を出させる。頻尿になることがあるチアゾリジン薬アクトス錠インスリンの効きを良くする。むくみが出ることがあるαグルコシダーゼ阻害薬ベイスン錠、セイブル錠腸からの糖分の吸収を遅らせる。便秘や下痢などを起こすことがあるスルホニルウレア(SU)薬アマリール錠、オイグルコン錠膵臓からインスリンを出させる。低血糖のリスクが高いグリニド薬グルファスト錠、シュアポスト錠SU薬と同様に低血糖を起こすリスクがあるが、SU薬にくらべ効果がマイルドGLP-1受容体作動薬ビクトーザ注、トルリシティ注自己注射薬。低血糖は起こさないが、食欲不振になることがあるインスリン製剤ノボラピッド注、ヒューマログ注、ランタス注自己注射薬。低血糖を起こす可能性がある45歯科衛生士 February 2020 vol.44

元のページ  ../index.html#1

このブックを見る