歯科衛生士 2020年2月号
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治癒の考察から導く、DHの炎症コントロール歯周炎が治るとき、歯周組織にはなにが起きている?[前]治療のゴールへの道筋を知るペリオの治り方について考えた月星光博 月星歯科クリニック・歯科医師PART1ポケットが浅くなり続けた6年の間、歯周組織には何が起きていたのか1AERHTCP舌側の進行した歯周炎を非外科的に治療したら、10mmのポケットが残った 図1は、下顎前歯部舌側の腫脹と疼痛で来院した患者さんです(図1a~d)。深いプロービング値が舌側に見られ(図1d)、プロービング時におびただしい出血と排膿が見られました(図1b)。しかし唇側ではプロービング値は浅く、出血・排膿も見られません(図1a,d)。これらの所見に加え、エックス線写真(図1c)の透過像から判断して、下顎前歯部では主に舌側に歯周炎が進行していることが想像できます。 当院で行った治療は、診査、診断、モチベーションのあと、非外科的な歯周治療(スケーリング・ルートプレーニング)でした(次ページ図1e~h)。しかし、根尖近くまで歯石が付着していた1は抜歯を行い(図1e,f)、後日口腔外で根管充填と歯根切除を行い隣在歯に再接着しました(図1g)。これらの治療により、排膿はなくなり、プロービング時の出血も軽減しました。しかし、3ヵ月後の再評価では、1の遠心に10mmのポケットが残りました(図1h)。またその他の部位でも5~6mmのポケットが残りました。図1a~d 下顎前歯舌側の腫れと痛みで来院。プロービング値やBOP、排膿から、舌側に進行した歯周炎が生じていることがわかる。歯周炎の治療と治癒を示す臨床例48歳女性初診時CASE133525296271121011111110212299210311929abcd出血PPD 7mm~PPD 4~6mm35歯科衛生士 February 2020 vol.44

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