歯科衛生士 2020年3月号
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糖尿病患者の歯周病管理では、全身状態を把握する方法として「お薬手帳」や「糖尿病連携手帳」の確認は重要な情報源の一つです。各チェックポイントと活用の実際をご紹介します。中澤正絵 Masae NAKAZAWA医療法人盟陽会 富谷中央病院 歯科衛生士長歯科衛生士・宮城県糖尿病療養指導士角川智子 Tomoko KAKUGAWA医療法人盟陽会 富谷中央病院 副院長糖尿病内科医白井勇太 Yuta SHIRAI医療法人盟陽会 富谷中央病院糖尿病専門医[監修]糖尿病診療記録のみかた・読みかたお薬手帳&糖尿病連携手帳を歯周病管理に役立てる最終回 患者さんは39歳男性。糖尿病内科医の紹介で歯科に来院されました(表1、2)。口腔内に歯の欠損があったため、患者さんには、歯の欠損は咀嚼機能低下を招き、食後、高血糖を誘発しかねないため、早急に咀嚼機能改善が必要であること、インスリン抵抗性改善のために歯周炎の炎症抑制が必要なことなど歯科治療が糖尿病に与える影響について説明し、全顎的治療の必要性を伝えました。 HbA1c値が14.2%とかなり高いため、歯科医師と相談し、改善するまでは観血処置を避けるよう治療計画を立てました。糖尿病をきっかけに歯科受診した患者さん対応編手帳で得た情報、どういかす?前号では手帳のみるべき項目とポイントを紹介しました。今月は、それぞれの手帳をどのタイミングでどのように活用しているか、症例をもとに紹介します。年齢・性別39歳・男性身長・体重・BMI身長183.1cm・体重114kg・BMI34主訴痛みはないがうまく噛めない、歯肉が腫れている現病歴糖尿病(HbA1c14.2%、血糖値364mg/dL)歯科的既往歴22年間受診なし喫煙歴19年間に20本/日飲食習慣コーラ1L/日、間食が多い、飲酒(-)家族歴母と叔父が糖尿病、父が高血圧薬物療法グラクティブ錠50mg、アダラート錠40mg、ミカルディス錠40mg、フルイトラン錠1mg食事療法1日1,800kcal摂取、減塩運動療法7,000~8,000歩/日表1 患者情報(2016年4月初診時)表2 内科治療情報歯周病とう蝕により多くの歯を失っていた。降圧剤の影響もあり、歯肉が腫れていた。歯数20本、PCR43.8%、BOP5.8%、PPD≧4mm6.7%49歯科衛生士 March 2020 vol.44

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