歯科衛生士 2020年4月号
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エックス線写真 まずはアタリを付ける!1特集パノラマ編位置づけも&読影も 毎日の慌ただしい診療のなかでエックス線写真を“保存すること”が目的となっていませんか? パノラマエックス線写真は、顎関節や下歯槽管・上顎洞など、口腔内の広い範囲をたった1枚の写真で確認することが可能です。さらに、デンタルエックス線写真を活用すれば、根分岐部や歯槽硬線など細部を詳しく確認できます。 歯の形態は非常に複雑で、人の顔と同じように1歯ずつ違います。しかし、直接見ることが難しい歯肉縁下の歯根形態は、プロービングを介した指先の感覚でイメージしなければいけません。そこに「エックス線写真」という情報をひとつ増やすことで、直接見ることが難しい部分も、より理解しやすくなります。エックス線写真は、私たちの臨床には欠かせない大切な基礎データのひとつです。 歯科医院で撮影できるエックス線写真には、パノラマ視診だけでは得られない情報が詰まっている!長年メインテナンスをしていたのに…… 他院に通院中、6にクラックが入り抜歯をすすめられたと、相談に来られた患者さんです(図1)。歯科医師から、まず口腔内の清掃状態を改善してから治療を行うように指示がありました。長年メインテナンスを受診されていた方でしたが、7遠心、歯頚部から歯肉縁下に向かって多量の歯石が沈着していました。 私たち歯科衛生士は、細部にわたり検査をし、メインテナンスを行っているにもかかわらず、なぜこのような見落としがしばしば起こるのでしょうか? もし、図2のようなデンタルエックス線写真が撮影されていて、7遠心のルートトランクは短いこと、根分岐部が骨縁上に確認できることが読影できていれば、遠心面を疑ってプロービングし、より慎重にルーペやマイクロスコープで拡大して検査ができた可能性があります。 たった一枚のデンタルエックス線写真ですが、その一枚にこだわって美しく撮影できるよう位置づけし、読影力を身に付け、歯を立体的にイメージできれば、歯科衛生士業務のクオリティを上げることが可能です。苦手を得意に変えていきましょう。CASE歯科衛生士 April 2020 vol.4426

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