歯科衛生士 2020年4月号
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Illustration:サタケシュンスケ、キムラみのる[第4回] 薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)MRONJの予防の大切さを説明しましょう薬剤関連顎骨壊死(MムロンジェイRONJ:medication-related osteonecrosis of the jaw)をご存じでしょうか。特定の薬を服用・使用している患者さんにおいて、歯科治療が契機になって発症することが多いMRONJ。発症頻度は高くないものの、いったん進行してしまうと、咀嚼・会話・外見等に支障が生じるなど、お口の困りごとが増えてしまい、お口の質が低下します1)。効果的な治療法がまだないことから、該当する薬を処方されている患者さんを必ず歯科医院で把握し、患者さんに発症と進行の予防のための自助努力をしていただくことが必要不可欠です。 MRONJは、特定の薬(表1)を服用・使用している患者さんにおいて、主として抜歯などの侵襲が高い歯科治療をきっかけとして起こりますが、起こる頻度はそれほど高くありません2, 3)。ところが、写真のように状態が悪化してしまうと、もはや歯科医院では対応できないため、口腔外科専門の歯科医師がいる大きな病院に転院せざるを得なくなり、患者さんにとっては大きな負担となります。また、食事・会話・見た目といったお口に関する困りごとが増えて、ひいては生活の質にも影響を与えます。 図1のような口腔内の状態になることを予防するため、もしくは、このような口腔内の状態になってしまった場合、歯科衛生士として患者さんにどのような説明をしたらよいのでしょうか。MRONJが進行すると生活に支障をきたす 図1は、ビスホスホネート製剤(以下、BP製剤)を使用している患者さんが抜歯をし、その後排膿が続いてBP製剤関連顎骨壊死(BRONJ)と診断された際の口腔内写真です。MRONJの基礎知識をおさえておこう図1 骨粗鬆症の患者に発症したBP製剤関連顎骨壊死6年前より骨粗鬆症のため、ボナロン®を内服している65歳の男性。4の抜歯後、抜歯窩周囲から持続的な排膿を認め、骨露出が拡大していった。この患者はBRONJと診断され、7の抜歯と露出骨を除去して現在経過観察中である。平尾直美Naomi HIRAO長崎大学病院医療技術部歯科衛生室副室長・歯科衛生士江波桃花Momoka ENAMI長崎大学病院医療技術部歯科衛生室歯科衛生士米田俊之Toshiyuki YONEDA大阪大学大学院歯学研究科生化学講座特任教授・歯科医師黒嶋伸一郎Shinichiro KUROSHIMA長崎大学生命医科学域(歯学系)口腔インプラント学分野准教授・歯科医師里 美香Mika SATO長崎大学病院医療技術部歯科衛生室主任歯科衛生士澤瀬 隆Takashi SAWASE長崎大学生命医科学域(歯学系)口腔インプラント学分野教授・歯科医師歯科衛生士 April 2020 vol.4466

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