歯科衛生士 2020年4月号
6/8

表1 薬剤関連顎骨壊死を引き起こすリスクがある薬剤と発現頻度1, 2, 3)骨が露出していなくてもMRONJと診断される MRONJを診断する場合には表2の診断定義が用いられます。注意すべきは、MRONJは必ずしも骨の露出をともなわないということです。口腔内外に形成された瘻孔から持続的に排膿しており、その部分が粘膜の下にある骨と連絡し、そのような状態が8週間以上継続している場合MRONJと診断されます1, 2)。 したがって、骨露出をともなわない持続的な排膿などの異常所見も見落とさないことが、MRONJの早期発見・早期対応につながります。これは、歯科衛生士が行うべきチェック項目のひとつであるといえます。1)BP製剤またはデノスマブを含む、薬剤関連顎骨壊死を引き起こす可能性がある薬剤による治療歴がある(日本の定義では骨吸収抑制薬のみ)。2)顎骨への放射線照射歴がない。また骨病変が顎骨へのがん転移ではないことが確認できる。3)医療従事者が指摘してから8週間以上持続して、口腔顎顔面領域に骨露出を認める、または口腔内外の瘻孔から触知出来る骨を8週間以上認める。表2 薬剤関連顎骨壊死の定義(世界的な定義)1, 2)MRONJに関連する薬の一覧をまとめました。服薬状況の確認の際に見せてお使いください。※薬の情報は2020年2月現在コピーできる! DLして印刷できる!とじ込み患者説明用シート治療法が十分に確立しておらず、予防と早期発見が大切P.69顎骨壊死の発症リスクが高まるのはこんなときP.70こんな症状が続く場合は連絡をP.72薬の種類によってインプラント治療が行えない場合があるP.73薬の影響で起こることがある「顎骨壊死」とはP.68説明のPOINT発症頻度は低く、休薬してもリスクは下がらないP.71服薬状況をで確認します。患者説明用シート一般名(薬の種類)投与経路商品名投与目的発現頻度骨吸収抑制薬ビスホスホネート製剤(BP製剤)経口●アクトネル®●フォサマック®●ベネット®●ボナロン®●ボノテオ®●ボンビバ®●リカルボン®骨粗鬆症の治療極めて低い注射(静脈注射)●ゾメタ®がんの骨関連事象抑制など低くはない(1.6~14.8%)※多発性骨髄腫の患者さんで 起こりやすい●ボナロン®●ボンビバ®●リクラスト®骨粗鬆症の治療不明デノスマブ注射(皮下注射)●プラリア®骨粗鬆症の治療極めて低い(0.1%)●ランマーク®がんの骨関連事象抑制など低くはない(1.8%)薬剤関連顎骨壊死を引き起こす薬剤一般名(薬の種類)投与経路商品名投与目的発現頻度血管新生抑制薬注射(静脈注射)●アバスチン®がんの治療低くはない(0.2%程度)薬剤関連顎骨壊死を引き起こす可能性がある薬剤67歯科衛生士 April 2020 vol.44

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る