歯科衛生士 2020年4月号
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[前編] 最近では、歯科衛生士さんのケースプレゼンテーションや臨床発表を拝見する機会がずいぶんと多くなりました。しかしながら、実際にご発表を拝見、拝聴すると、多くの場合に「感想文」のような構成になっており、ケースプレゼンテーションとして必要な情報が欠落していたり、発表の流れや表現方法が科学的とは言い難いこともあります。 そこで本稿では歯科衛生士さんに向けて、ケースプレゼンテーションのキーポイントをまとめます。今後の歯科衛生士さんの投稿や発表の一助となれば幸いです。 科学とは、体系的であり、経験的に実証可能な知識=sci(知る)+ence(すること)であり、それを実体験する手法が「科学的思考サイクル」(図1)です。その科学的思考サイクルの基本は、いつも批判的思考(critical thinking)からスタートします。批判的思考とは、「十分な調査・知識に基づく、よく練られた知的批判」であり、もちろんこれは「感情的批判」とは対極にあるものです。 批判的思考によって自分自身の「臨床的疑問」を抽出したら、そこから感じる問題点をその患者またはその治療法における「問題提起」として明確にし、そして目の科学的思考サイクル前で起こっている「事実」を詳細に観察します。その「事実のみを根拠に論理を展開して、結論に至る」のです。さらに、その「結論」が最初に考えた「問題提起の回答になっているか」を検証します。つまりこの輪が科学的思考サイクルです。 一般に、このような手法は学術論文の作成に使われるものですが、臨床ケースプレゼンテーションや商業誌への投稿でも同じコンセプトで作成するとスムーズに作業が進み、オーディエンスや読者に理解されやすいものが作成できます。Illustration:津田蘭子図1 科学的思考サイクル問題提起Introduction事実の観察Material & Method, Results論理展開Discussion結論Conclusion検証Verication歯科衛生士 April 2020 vol.4480

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