歯科衛生士 2020年5月号
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資料の活用度で臨床は大きく  皆さんの診療室では、患者さんのために撮影、採得した資料(口腔内写真、10枚法デンタルエックス線写真、歯周組織検査、診療記録など)をどのように活用していますか。資料は、採得して終わりではありません。資料はちゃんと見返して、活用すればするほど、患者さんのためになります。活用のための  つのポイント では、資料の何を見ればいいのでしょうか? また、活用とはどうすればよいのでしょうか? 大きなポイントは、「資料を見る」「資料を院内で共有する」「資料を患者指導に使う」という3つだと考えます。具体的にひとつずつみていきましょう。 日頃の臨床で、いつ資料を見る必要があるか考えてみると、表1のようなタイミングが挙げられ、見る頻度はかなり多いと思います。つまり、資料を見る機会をルーティンに組み込む必要があるでしょう。筆者も、開業当初にくらべると資料を見る頻度は格段に増えました。 資料を見返すことで、治療計画の修正点を見出すなど、あらためて気づくことがたくさんあります。より深く、患者さん個々の治療やメインテナンスを考えることになり、無駄なものが削ぎ落とされ必要なものが加わっていくのです。 資料は見るだけではなく、過去と現在を比較してこそ、今やるべきことが見えてきて、将来に対する備えも考えることができると思います。特に「変化に気づく」という意識が大事です。症状はないけれど、トラブルが起き始めている場所を発見したり、経過観察している部位の状況を考察したりすることも重要です。 たとえば、歯周病で経過観察している部位があったときに、10年かけて少しずつ悪化していっているのか、それともこの半年で急激に悪くなっているのかでは対応が違ってくるものと思います。そんな時間軸をふまえた経過観察ができるのは、患者資料が蓄積されていてこそのこと。ダラダラと経過観察するのではなく、今の状況を整理しながら患者さんとともに前に進んでいきましょう。 また、資料の比較をするためには、口腔内写真もエックス線写真もいつも安定して同じように撮影された、規格性のある、質の高い資料が求められます。資料を見る表1 採得資料を見返す主なタイミング●歯科医師が治療計画を作成する時●歯科衛生士がサブカルテを記載する時●来院する患者さんについて予習をする時●来院した患者さんについて考察する時●今後の治療計画の修正をする時●歯科衛生士と歯科医師が相談する時いつ見るかどう見るか歯科衛生士 May 2020 vol.4434

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