歯科衛生士 2020年6月号
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 歯を失う原因は、2018年の厚生労働省のデータ(図1)によると、1位歯周病(約37%)、2位う蝕(約29%)、3位破折(約18%)で、細菌が原因となる歯周病とう蝕の合計が約70%となり、歯科の2大疾患と言われる由縁です。 しかし、「メインテナンス中に限って」と限定条件をつけると、歯を失う原因の1位は「歯の破折」です(図2)。破折は細菌が原因ではありません。原因は力です。歯科衛生士がメインテナンスに従事し、国民の口腔管理、健康に寄与するためには、細菌のコントロールとともに「口腔内に生じる力」を捉える知識と技術が不可欠なのです。代表的な現症を挙げましたが、なかでも「骨吸収」は力だけの問題が原因ではありません。今回は、この骨吸収に迫ります。次ページから掘り下げていきましょう。メンテ中に 歯 を失ういちばんの理由は「力」松島正和PART1力がかかわる口腔内のトラブルを知っておこう歯冠破折48歳男性咬合痛で来院。生活歯であるが歯冠破折しているため、咬合圧により破折部から刺激が伝わり痛みがあると思われる。強い咬合圧がかかると生活歯でも歯冠破折を起こすことがある。咬合面、切端の咬耗(ファセット)、金属のシワ・補綴装置の破折51歳男性歯と歯を擦り合わせた結果、歯・補綴装置が摩耗した現象である。歯頚部の楔状欠損60歳女性歯に揺さぶられる力が加わり歯がたわむことで、エナメル象牙境付近が鋭角に欠損するといわれている。歯科衛生士 June 2020 vol.4432

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