歯科衛生士 2020年6月号
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根面う蝕予防のためのセルフケア高齢になるとなぜ根面う蝕になりやすいのかP.73根面う蝕のリスクファクターP.74根面う蝕予防のためのプロフェッショナルケアP.76P.75歯冠部う蝕と根面う蝕の違い説明のPOINT「この年までせっかく歯を残してきたのに……。」高齢者の歯に多発する、これまでとは傾向が違うう蝕から守るには? 根面は有機質が多く、耐酸性が低いだけでなく、象牙細管を通じて歯の中に細菌が侵入するため、根面う蝕は歯冠部う蝕に比べて進行が速く、場合によっては数ヵ月で歯髄に及んでしまうこともあります。たとえ歯冠部のう蝕リスクが低かった人でも、唾液分泌低下などの要因で多発することもあります。 これまでともに歯を守って来られた方の歯を引き続き根面う蝕からも守るためには、患者さんにも、これまで以上のていねいなセルフケアを行っていただく必要があります。 本稿では、根面う蝕の特徴を知っていただき、予防のためのセルフケアを理解していただくための説明のポイントを学びましょう。 わが国では、高齢になっても多くの歯が保たれるようになり、8020達成者が50%を超えました(平成28年度歯科疾患実態調査)。一生涯自分の歯を保って、自分の歯でなんでも食べられることは、QOLを考えたとき、極めて大切なことです。一方で、高齢になっても多くの歯が保たれていることで、それだけていねいなケアが必要になることも事実です。 高齢者では、身体機能の低下や基礎疾患などによる口腔環境の悪化などにより、根面う蝕(図1)のリスクが極めて高くなります。在宅における口腔管理においても、高齢者に多発する根面う蝕の予防と進行の抑制にたいへん苦慮することも少なくありません。図1 高齢者の口腔に見られる根面う蝕歯肉が退縮し、露出した根面にう蝕が発生している。唾液分泌低下などがあると、根面う蝕が多発する。歯間部の清掃不良により、隣接面に根面う蝕が発生する。P.72患者説明用シートabc71歯科衛生士 June 2020 vol.44

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