歯科衛生士 2020年7月号
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ガイドライン&文献データベースでできる!成田大輔 Daisuke NARITAしおみ歯科クリニック[大阪府]副院長・歯科医師 日本歯周病学会認定医2020年6月号では、DHが臨床上の疑問(クリニカルクエスチョン:CQ)の答えを自分で見つけるための基本的な文献検索スキルを特集で解説しました。本連載ではその実践編として、実際の症例を通してDHの臨床でよくみられるCQの文献検索に取り組みます。Illustration:寺田久美DHが知っておきたい歯周治療時の抜歯基準重度歯周炎になった歯は残せるの?CQ1歯周ポケットも深いし、骨吸収も重度だし、歯もすごく揺れてる……。患者さんはなるべく抜きたくないと言っているけど、一体何本歯が残せるんだろう……。 「この歯は残せるの?」歯周治療に携わるDHであれば、一度はこの疑問を抱いたことがあるのではないでしょうか。患者さんは「できる限り歯を残したい」と希望されることが多いため、状態の悪い歯でも何とか保存することができないか可能性を探る場面は臨床において多く見受けられます。 重度の歯周炎罹患歯などで保存困難と診断される歯に対しては、抜歯を行うことが治療となります(抜歯は歯周基本治療に含まれています)。しかし、結論から言うと、抜歯についてはさまざまな要因を考慮する必要があり、抜歯に関する厳密な基準を設けるのは難しいと言われています。そのなかで、保存困難という診断を最終的に下すのは歯科医師(DR)ですが、DHにおいてもエビデンスに基づいた抜歯基準に関する考え方を理解しておくことは大切です。CQ「重度歯周炎に罹患した歯の抜歯基準は?」CASE:初診時(2017年1月) 今回の患者さんの情報を表1、図1~3に示します。前医で歯肉からの出血や歯の動揺を訴えたところ、口腔衛生指導(OHI)やスケーリングなどは行われずにすべての動揺歯にレジン系材料による暫間固定が行われたようです。その暫間60歯科衛生士 July 2020 vol.44

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