歯科衛生士 2020年7月号
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その評価方法とカリオグラムCaries Risk —Its Assessment and the Cariogram—当てるべきです1)。う蝕が現在世界でもっとも蔓延している疾患となっているのは、現代社会では遊離糖類*1がふんだんに得られるためです。遊離糖類は、ソフトドリンク、ジュース、朝食用シリアルなど、至るところに存在しています。 しかしながら、この疾患の罹りやすさには、患者さん(および歯科医療従事者)によって大きな差があることも事実です。この多因子性疾患を効果的に予防したり治療するというのは複雑な課題です。個人のリスク評価に基づき、その人にもっとも関連するリスクファクターにターゲットを絞る必要があります。 そこで本稿では、カリエスリスク評価の原則、背景、臨床的事項を解説します。読者の皆さんがデータを収集・分析するにあたって、さまざまな補助的方法(コンピュータ・プログラムや系統的な方法)をもっと効果的に使えるようになっていただくことが本稿の目的です。西 真紀子Makiko NISHINPO法人「最先端のむし歯・歯周病予防を要求する会」(PSAP)新潟大学医歯学総合病院予防・保存系歯科(予防歯科)歯科医師ダン・エリクソンDan ERICSONスウェーデン・マルメ大学歯学部カリオロジー科教授歯科医師Illustration:根岸美帆©Thorbjørn Egner子どもたちにむし歯がどうしてできるのかを伝え、ブラッシングの大切さがわかるお話として、スウェーデンをはじめ多くの国の言葉に翻訳されているノルウェーの絵本。左は心配性なカリウス、右は楽天家のバクトゥス。ふたりはブラッシングをさぼりがちな子どもの歯に住みついている歯のこびとで、それぞれの名前はカリエスとバクテリアをもじっています。 『カリウスとバクトゥス』(トールビョルン・アイナー作)1. う蝕とカリエスリスク Caries and Caries Risk2. 人類とう蝕 Mankind and Caries3. リスク評価に関するステップワイズアプローチ(WHOのSTEPS)  A Stepwise Approach in Risk Assessment(the WHO STEPS)4. カリオグラムを用いたカリエスリスク評価  Caries Risk Assessment Using the Cariogram5. カリエスリスク評価モデルと唾液検査の未来  Future of Caries Risk Assessment Models and Saliva TestsContents*1 遊離糖類:単糖類(ブドウ糖、果糖等)および二糖類(ショ糖)。25歯科衛生士 July 2020 vol.44

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