歯科衛生士 2020年7月号
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CASE3本欄では、臨床に取り組まれている歯科衛生士の方にご登場いただき、日頃から後進の育成にあたっているアドバイザー委員のアドバイスを受けながら症例報告をまとめていただきます。臨床を振り返り、さらなるステップアップにつなげていただく場、また症例をシェアすることでともに学び合える場としていただけることを期待しています。[アドバイザー委員(50音順、敬称略)]奥山洋実/小林明子/塩浦有紀/田村 恵/山口幸子誌上ケースプレゼンテーションCASE PRESENTER杉山幸菜Yukina Sugiyama新百合ヶ丘南歯科[神奈川県]歯科衛生士●30歳●2011年鶴見大学短期大学部歯科衛生科卒業●臨床経験年数:9年●所属学会・スタディーグループ:デンタルアーツアカデミー講師、iTOPインストラクター、日本顕微鏡歯科学会認定歯科衛生士、日本臨床歯科学会(東京SJCD)、日本ヘルスケア歯科学会、日本臨床歯周病学会●勤務先:「生涯にわたりお口の健康を維持する」をコンセプトに、自由診療にてすべての患者に対し包括的な検査・診断を行い、予防的な観点を重視した診療を行っている。はじめに 筆者が歯科衛生士になってまず任された業務は、患者さんへの口腔衛生指導(OHI)でした。当初は教科書どおりに食習慣指導を行い、染め出しをした後に磨き残しの部位を見せ、正しいブラッシング方法を伝え、患者さんの口腔衛生状態が思うように改善するケースとそうでないケースを自分なりに考察するよう習慣にしてきました。それから現在に至るまで、筆者自身OHIについて継続的に学ぶと同時に、チームで診療している歯科医師と相談しながら、「予防・メインテナンスについてのアドバイスを、どうしたら患者さんに喜んで受け入れられ、長期にわたり実践してもらえるのか?」ということについて医院全体で考えて取り組んでいます。 現在は、診療の初期段階から、歯科衛生士だけでなく歯科医師からも、口腔内の現状や、生活習慣改善やセルフケアの方法を知ることの重要性について患者さんに情報提供を行っています。歯科医師・歯科衛生士が、治療や予防・メインテナンスに関して共通の認識を持ち、双方から一貫して患者さんへの情報提供を患者自身の気づきを促すための口腔衛生指導、医療面接の実践歯科医師、歯科衛生士のチームアプローチによってモチベーションを高めた症例[キーワード] 口腔衛生指導、医療面接、歯科医師、歯科衛生士、チームアプローチ、モチベーション年齢、性別37歳(2017年4月初診時)、男性主訴左右ともに上の歯が欠けたまま放置しており、左上奥は歯ぐきを押すと痛い現病歴以前から55が夜間痛くなることがあり、今年に入ってから欠けてきた。5は数ヵ月前に急激な痛みがあり歯肉にできものができた歯科的既往歴歯科受診はあまり記憶がないほど久しぶりで、おそらく20代後半で8の抜歯と4のメタルインレー修復をして以来全身的既往歴なし喫煙歴なし職業会社員家族歴妻がう蝕、歯肉炎に罹患。当院に何度か通院され、「主人の歯が心配」と話されていた表1 患者さんの基本情報講演者論文講演者論文79歯科衛生士 July 2020 vol.44

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