歯科衛生士2020年8月号
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ガイドライン&文献データベースでできる!成田大輔 Daisuke NARITAしおみ歯科クリニック[大阪府]副院長・歯科医師 日本歯周病学会認定医2020年6月号では、DHが臨床上の疑問(クリニカルクエスチョン:CQ)の答えを自分で見つけるための基本的な文献検索スキルを特集で解説しました。本連載ではその実践編として、実際の症例を通してDHの臨床でよくみられるCQの文献検索に取り組みます。Illustration:寺田久美CQ2DHが知っておきたいSRPの具体的な効果SRPではどれほど改善が見込めるか?この患者さんは歯肉の腫脹や縁下歯石がみられるから、SRPが必要そう……。SRPで歯周ポケットはどのくらい浅くなるんだろう? SRPによって、歯周ポケットは具体的にどれくらい浅くなるでしょうか? 付着の獲得はどれくらい得られるでしょうか? 炎症の程度はどれくらい改善するでしょうか? このようなSRPの効果は一律ではなく、術者の技術や患者さん個人によって変動しますが、「平均的に何mmの歯周ポケットの減少や付着の獲得が得られるか」「BOPはどれくらい減少するか」などの具体的な効果の目安を知っておくことは重要です。こうした知識があれば、患者さんの初診時の歯周ポケットの深さから「非外科的歯周治療によって、コントロールしやすい浅い歯周ポケットが獲得できるかどうか」がある程度把握できるので、治療計画立案時に役に立ちます。また、再評価時に自分が行ったSRPが奏功しているかを確認することもできます。CQ「SRPによってどれくらいの臨床効果が得られるか?」CASE:初診時(2014年10月) 今回の患者さんは、初診時38歳の女性で、主訴はブラッシング時の出血でした。特に炎症症状や歯石の沈着が顕著であった前歯部の検査所見を図1~3に示します。上下顎ともに中等度の歯周ポケットがみられ、広汎型慢性歯周炎ステー66歯科衛生士 August 2020 vol.44

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