歯科衛生士2020年8月号
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萌出遅延:永久歯が生えてくるのが遅い先天欠如:もともと永久歯が足りないP.75歯胚位置異常:歯胚の位置がずれていたり傾いているP.76乳歯の早期脱落:乳歯が早くに抜けてしまうP.78骨格性の問題:上下の顎骨が大きくずれているP.79叢生:歯の生えるスペースが足りない説明のPOINTP.74P.77子どもたちの正常な発育を見守るために異常の兆候を見逃さないようにしようれます。子どもの口腔内は変化が大きく、経過観察をするうえで写真の比較は必須です。また、口腔内写真のほかにパノラマエックス線撮影も必要です。前歯部交換期終了までには一度は撮影し、永久歯の歯胚の数・位置・向きなどを確認します。さらに、未来を予測するために家族歴などを把握することも重要です。反対咬合、過蓋咬合などは家族性があり、兄弟で同じような傾向が出ることも少なくありません。 定期健診に通う子どもたちの正常な発育を見守るために、異常の兆候を早めに把握して対応につなげる必要があります。今回は、以下の説明のPOINTに示す歯列不正にかかわる解剖学的な要素を取り上げて解説していきます。 歯胚の位置や萌出位置、歯の先天欠如、歯の形態や大きさ、上下の顎骨の位置関係や顎骨の形や大きさなどは生来の遺伝的な問題であり、これらは解剖学的要素が強いと考えられます。骨格性の歯列不正の問題など難症例もありますが、基本的にはこれら形態学的な問題は、早めに問題点を把握し従来の矯正装置などを駆使すれば、術者主導で治る可能性が高いです(図1)。 子どもたちの正常な発育を見守るためには、異常の兆候を見逃さずに早期発見し、対応できるような訓練が必要ですが、現状の把握として口腔内の観察とともに、口腔内写真を撮影しましょう。写真は、視診にくらべ、より広い視野で見ら図1 早期介入により叢生を改善した症例8歳6ヵ月女児。主訴は下顎前歯叢生。その他上唇小帯がやや張っている以外は解剖学的にも機能的にも問題はない。装置装着時。当院では前歯部交換期の叢生に対しては拡大床をメインに使用している。13歳7ヵ月。拡大床のみで叢生は改善し、問題なく永久歯へ交換した。この症例は他の機能的な問題がなかったため、比較的容易に解決できた。歯列の成長に合わせた正常像をで確認します。患者説明用シート73歯科衛生士 August 2020 vol.44

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