歯科衛生士2020年9月号
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ガイドライン&文献データベースでできる!成田大輔 Daisuke NARITAしおみ歯科クリニック[大阪府]副院長・歯科医師 日本歯周病学会認定医2020年6月号では、DHが臨床上の疑問(クリニカルクエスチョン:CQ)の答えを自分で見つけるための基本的な文献検索スキルを特集で解説しました。本連載ではその実践編として、実際の症例を通してDHの臨床でよくみられるCQの文献検索に取り組みます。Illustration:寺田久美CQ3DHが知っておきたいプラークコントロールの効果と重要性縁上プラークコントロールで歯周炎はどれくらい改善する? 歯周治療において、プラークコントロールはすべての治療に優先されます。Löeら(1966)の報告によると、歯肉炎の状態であれば、縁上のプラークコントロールを確立するだけで治癒すると言われています1)。 一方、歯周炎においてもプラークコントロールが重要なのは言うまでもありませんが、いったいどの程度改善が見込めるのでしょうか? 歯周炎が重度に進行してしまった場合、プラークコントロールのみで治癒するのが困難なのはイメージしやすいと思いますが、軽度の歯周炎であれば治るのでしょうか? また、縁上のプラークコントロールを確立することで、具体的にどのような効果が得られるのでしょうか?CQ「縁上プラークコントロールはどれくらい効果がある?」 今回の患者さんは50歳女性(2019年3月初診時)で、検診を希望して来院されました。歯列不正により特にプラークコントロールが悪く、炎症が顕著にみられた前歯部の検査所見を図1、2に示します。上下顎ともに4~7mmの歯周ポケットがみられ、広汎型慢性歯周炎ステージⅢグレードB(広汎型重度慢性歯周炎)と診断されました。この患者さんの場合、縁上のプラークコントロールを確立することでどの程度改善が見込めるのでしょうか。この患者さんはプラークコントロールが不良で歯肉に炎症が起こっている……。4mm以上の深い歯周ポケットもある……。プラークコントロールを改善するだけで歯周組織はどれくらい良くなるんだろう?66歯科衛生士 September 2020 vol.44

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