歯科衛生士2020年9月号
2/9

1 前医にて7の根管治療を中断していたため、初診時(2007年9月)には軟化象牙質が認められました。軟化象牙質を完全に除去すると、歯質が薄くなったものの、保存可能と判断し、補綴処置が行われました。同部の歯周組織検査はポケット値が3mm以内で、深いポケットは認められませんでした(図1)。 メインテナンスに移行して13年後(2020年2月)、メインテナンス来院時に下顎左側の自発痛を訴えられました(図2)。症状は1週間前から継続しており、特に硬いものを噛んだ際に咬合痛があるとのことでした。メインテナンス間隔は約3ヵ月でしたが、前回のメインテナンス時にはポケット値は正常範囲内で、異常はなく、自覚症状の訴えもありませんでした。歯科衛生アセスメントを表1に示します。森田久美子 大川歯科医院・歯科衛生士患者33歳女性(現在46歳、補綴装置装着後13年経過)初診年月2007年9月主訴左下奥の歯がズキズキ痛む(初診時)全身的既往歴、服用薬剤特記事項なし喫煙歴1日15本(10年間)歯科的既往歴3~4年前まで前医で歯科治療をしていたが、治療中の痛みに耐えられず7は根管治療を中断し、放置していた歯根破折によるメインテナンス中の突然の抜歯ケースで見る症例の概要図1 初診時7(2007年9月)歯や歯槽骨、歯根膜に異常所見は見られない。歯周ポケットは3mm以内で正常範囲内。ab3 2 373 2 3図2 13年後7(2020年2月)ab舌側近心部に6mmの限局した深いポケットが認められる。ab6 3 373 3 3c硬質レジンジャケット冠(HJK)が破折している。打診痛は垂直(+)、側方(+)。c表1 歯科衛生アセスメント起床時の顎関節の違和感からは力の関与が疑われた。●急激なポケットの深化●限局した幅の狭い深いポケット●咬合痛●補綴装置(HJK)の破折●起床時の顎関節の違和感安定していたメインテナンス患者さんの咬合痛の正体は?28歯科衛生士 September 2020 vol.44

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る