歯科衛生士2020年9月号
3/9

その   は本当にペリオ?病変歯科衛生士が知っておきたい歯根破折 前述の情報から、破折に関連した歯肉の炎症だと歯科衛生診断を行い、歯科医師に報告しましたが、深いポケットが形成されていたため、ペリオである可能性も否めないと考えられました。 エックス線像(図3)では大きな変化は認められないため、エックス線検査によってペリオか破折かを明確に判断することは困難でした。また、歯列不正があることから、咬合性外傷によって継続的にかかる力が関与している可能性もあるのではないかと考えられました。 確定診断を得るためにHJKを除去したところ、近遠心的に破折線が確認できました。破折線は歯根まで到達しており、保存不可能と判断されて抜歯となりました(図4)。3ヵ月前の来院時には自覚症状はなく、破折の兆候を示す臨床所見も得られていないことから、短期間で破折が進行したものと考えられます。 では、歯根破折が起こった時、どのように見抜いたらよいのでしょうか。図3 7のデンタルエックス線写真(2020年2月)デンタルエックス線では、骨吸収等の大きな変化はみられなかった。図4 破折した歯根部の除去(2020年3月)破折した歯根部の除去を行った。a破折した歯根部除去後。b抜去した7。破折線が根尖方向に走行している。c本ケースのように、口腔内所見やエックス線所見からはペリオか破折かを判断しにくい場合もあります。次の章では、歯根破折の兆候について詳しく学んでいきましょう!“ペリオか? 破折か?” ――定まらず、確定診断へ29歯科衛生士 September 2020 vol.44

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る