歯科衛生士2020年9月号
7/9

偏咀嚼:歯列や顔貌の歪みにつながる舌癖:開咬につながるP.77口呼吸:舌癖や口唇閉鎖不全につながるP.78クレンチング:過蓋咬合につながるP.79咬唇癖:上顎前歯の前突につながるP.81舌小帯強直症:舌が動かしにくいため低位舌につながるP.82指しゃぶり:やめられないと歯列に影響する説明のPOINTP.76P.80口腔機能と周囲の形態は密接に関係している 呼吸、嚥下、咀嚼、発音などの口腔機能は人間が生きていくうえで必須のものであり、これらの口腔機能による動作が口腔周囲の環境や歯列などの形態をつくります。口腔機能と周囲の形態には密接な相関関係があり、前回ご紹介したような歯列形態に解剖学的な問題がなく、口腔機能が正常であれば、口腔内は正常に発育します。ところが、口腔機能に問題(口腔習癖)があると、その影響で歯列形態に問題が出てしまいます(図11)。また、形態に問題があると、それにより口腔機能を正常に保つことが難しくなり、口腔習癖が誘発され、悪循環が発生してしまうこともあります。バランスよく口腔周囲を機能させているかチェックし、できていなければ、原因となる口腔習癖や悪い生活習慣、その他の形態の問題などを検査し、それに対応した機能訓練を行う必要があります。 口腔習癖とは、「歯列形態に悪影響を及ぼす口腔周囲の異常機能」のことをいい、指しゃぶりや口呼吸、異常嚥下癖、構音障害、口唇閉鎖不全、弄ろう舌癖、クレンチング、偏咀嚼、咬唇癖などさまざまな種類があげられます。それぞれ習癖により対応が異なってくるため、それらの一つひとつの仕組みを理解して指導することが解決につながります。 今回は、さまざまな口腔習癖(指しゃぶり、舌癖[舌突出癖、異常嚥下癖、構音障害、弄舌癖]、口呼吸、クレンチング、偏咀嚼、咬唇癖)と、舌癖を引き起こす形態の問題である舌小帯強直症について適切な説明のしかたをお伝えします。図11 口腔機能の変化による小児の口腔形態の変化3歳9ヵ月時。いまだ右指の指しゃぶりがあり、開咬になっている。しゃぶる力によって上顎前歯は前突し、顎骨も変形し上顎歯列はV字型になっている。右指には吸いだこがみられる。7歳4ヵ月。クレンチングと前方グラインディングがあり、歯列はすり減り、やや咬合高径が下がってきている。一方、異常嚥下があるので、わずかに開咬になっている。小児は口腔機能の変化で形態がダイナミックに変化する。わずか3年半で大きな変化がみられた。5歳3ヵ月。指しゃぶりの改善とともに歯列や顎骨の形態もすみやかに改善した。このように口腔習癖が改善すれば形態も改善する。口腔習癖がどのように口腔や顔貌に現れるかで確認します。患者説明用シート75歯科衛生士 September 2020 vol.44

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る