歯科衛生士2020年9月号
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CASE5本欄では、臨床に取り組まれている歯科衛生士の方にご登場いただき、日頃から後進の育成にあたっているアドバイザー委員のアドバイスを受けながら症例報告をまとめていただきます。臨床を振り返り、さらなるステップアップにつなげていただく場、また症例をシェアすることでともに学び合える場としていただけることを期待しています。[アドバイザー委員(50音順、敬称略)]奥山洋実/小林明子/塩浦有紀/田村 恵/山口幸子誌上ケースプレゼンテーションCASE PRESENTER●42歳●1998年アポロ歯科衛生士専門学校卒業●臨床経験年数:17年●所属学会:日本臨床歯周病学会認定歯科衛生士●勤務先:歯周治療をはじめ、インプラント、矯正、審美、咬合など幅広い治療を行う歯科医院。はじめに 歯周基本治療の成否には、術者の技術のみならず、患者さんと信頼関係を築くことで、治療へのモチベーションが向上するかどうかが大きくかかわります。そのためには、患者さん自身が歯周病を理解し、治したいと思えるように、その人の状況に合わせた情報を提供し、寄り添いながらも自立できるよう支援することが歯科衛生士として必要なことだと考えます。 今回は、歯周病の原因やリスク、治療計画について理解してもらえるように考え、「わかりやすく伝えること」をつねに意識して話し合いをしたことで、患者さんの気持ちに変化が見られた結果、行動変容につながり、SPTまで導くことができた症例を報告します。初診時の所見 患者さんは、初診時48歳女性です(表1)。詰め物が取れた6の治療と、歯石除去を主訴として来院されました。患者さんは無口で笑顔がみられず、反応も薄く、話しかけにくい雰囲気で、こちらの対応次第では治療が中断される可能性が危惧されました。 初診時の検査結果を次ページ図1~4患者の自立を促すための歯科衛生士による情報提供歯周病に関する知識が深まったことでSPTにつなげられた症例[キーワード] 自立、歯科衛生士、情報提供、歯周病、SPT表1 患者さんの基本情報浮蓮真由美Mayumi Ukihasuつかだ歯科医院[千葉県]歯科衛生士年齢、性別48歳(2014年12月初診時)、女性主訴詰め物、冠が外れた。6に違和感がある。歯石を取りたい現病歴数日前に詰め物が取れ、痛みがある歯科的既往歴臼歯部はう蝕のため治療を行ったが、時期は覚えていない全身的既往歴特記事項なし喫煙歴2年前に禁煙職業専業主婦85歯科衛生士 September 2020 vol.44

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