歯科衛生士2020年10月号
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症例をシェアして、ステップアップ!Case38はじめに―自分の指導を見直して、やりがいを見つけた! 歯周治療において大切なことは、患者さんを自律的健康観に導くことだとわかってはいますが、実際のところはなかなか難しいものです。とくに経験値の少ない新人は、目先の表面的なことや結果にとらわれてしまい、患者さんを包括的に観ることができず、つい押しつけの指導をしがちです。 本症例は、筆者が初めて担当した患者さんです。自分の指導を見つめ直しながら患者さんとかかわっていくなかで、歯科衛生士としてのやりがいと自分の今後の課題を見つけることができました。当時新人だった筆者が悪戦苦闘しつつ、人として、歯科衛生士として患者さんと向き合い、寄り添うことで、筆者自身の変化と患者さんの行動変容がみられた過程を紹介します。指導されるのが嫌いな患者さん 患者さんは初診時70歳の女性です(表1)。以前から当院に来てはいましたが、いつも治療が中断してしまう方でした。指導されるのが嫌で、自己流でブラッシングをしていました。ブラッシングは毎食後に1日3回ざっと簡単に済ませる程度で、ストロークは大きく、強いブラッシング圧でガシャガシャと磨いていました。 口腔内の状態については、歯肉には発赤・腫脹を認め、全顎的に多量のプラーク付着、歯肉縁上縁下には歯石沈着がみられます(次ページ図1、2、P.79図3、4)。1と1は歯間離開しています。エックス線所見では全顎的に水平性骨吸収が歯科衛生計画の見直しなどで、患者さんの行動変容を導いた症例[キーワード] 歯科衛生計画、見直し、行動変容●24歳●2017年長野県公衆衛生専門学校卒業●歯科衛生士歴:4年目●勤務形態:常勤●勤務先:日本歯周病学会専門医の院長と認定歯科衛生士3名が在籍。予防を中心に、口腔内から全身への健康観が築けるようチーム医療で歯科治療を提供している。小林あかねさんAkane Kobayashi宮下歯科医院[長野県]歯科衛生士日本歯周病学会スタディグループ綾の会今回症例を紹介してくれるのは……表1 患者さんの基本情報年齢、性別70歳(2017年4月初診時)、女性主訴詰め物が取れた歯科的既往歴以前から当院の患者だったが、継続的な通院はしていない全身的既往歴緑内障性格神経質で、はっきりとものを言う印象を受けた食習慣1日3回。間食の時間は決まっていない。趣味の登山をされるときは間食が増える。甘いものや酸っぱいものが好き77歯科衛生士 October 2020 vol.44

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