歯科衛生士2020年11月号
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発達と意欲を引き出す離乳食の進めかた赤ちゃんの     を育む! 次に、離乳期についてです。皆さんは離乳食の開始時期の見極めをどのように行っているでしょうか? 厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」4)は、「首のすわりがしっかりして寝返りができ、5秒以上座れる、スプーンなどを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる(哺乳反射の減弱)、食べ物に興味を示すなど」を目安としています。私たちもこれらを目安として、赤ちゃんの離乳を開始する時期を判断することも多いと思いますが、一般の方が赤ちゃんのようすを観察してこれを見極めることは難しいこともあると思われます。 そのため、月齢については「生後5~6ヵ月頃」「ただし、子どもの発育及び発達には個人差があるので、月齢はあくまでも目安」としています。日本では離乳食開始を生後5~6ヵ月頃としていますが、WHOは「生後6ヵ月以降」の開始を推奨5)しており、アメリカ6)、ヨーロッパ7)、中国8)なども6ヵ月以降の開始を推奨しています。離乳に関する主な研究は4ヵ月、6ヵ月、9ヵ月の区切りでなされており、日本が独自に「5ヵ月」と表記しているのは単純に幅を持たせる意味合いであり、日本人の子どもの発達が平均的に早いというわけではありません。あくまでも目安と注記されてはいますが、月齢は一般の方にも明確ですので、表記されているとついその数字に目をとられがちになるようです。シンの血中濃度も上昇し、射乳反射を起こします。これらを「エンドクリン・コントロール(内分泌調整)」といいます。 また、乳房がどのくらい「空」になったかが、次の授乳までの母乳産生に影響します。これを「オートクリン・コントロール(局所的調節)」といいます。乳腺腔内に乳汁が残存すると、その後の乳汁産生が抑制されてしまうため、頻回に授乳を行い、場合によっては搾乳を併用するなどのサポートが必要になります3)。 授乳についても、かつては「計画授乳」といって時間と量を決めて与える考え方が推奨されていた時期がありましたが、上記のような母乳分泌の生理などから、赤ちゃんが欲しがるときに欲しがるだけ与える「自律授乳」が好ましいことがわかってきたことにより、授乳支援のあり方も変化してきました*。とはいえ、現在でも計画的に授乳管理を勧めている産科もあります。また、もちろん赤ちゃんの性格的な特徴や気質の特性によっても最適な管理の仕方は変わってくると思います。そうした現状で、母子がど*アメリカの小児科医で、国際認定ラクテーション・コンサルタント(IBCLC)のChristina Smillie氏は、赤ちゃんが本来持っている力で乳房に吸いつく能力を発揮できるように母親が赤ちゃんを援助する「Baby-Led Breastfeeding」という考え方を提唱している。のように授乳支援を受けられるか、歯科でも積極的にサポートしていくことが大切です。離乳食の開始時期に絶対的な目安はない49歯科衛生士 November 2020 vol.44

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